たのし2
萩原ゆか
ある晩のこと、直感が走り、寝ているたのしの股に手をやった。
やっぱり。濡れている。
幸い、シーツまでは被害が及んでいない。
わたしは、こっそりパンツとズボンを替えにかかった。
その途中でたのしが目を覚ました、ように見えた。
「おもらししちゃってるから着替えようね。」
「もうトイレは平気?」
「あ、起きるの?」
「あ、自分で脱ぐの?」
わたしは、貼り付くパンツを脱がすのを、せっせと手伝った。
濡れちゃってるから脱ぎづらいよねー、なんて。
たのしはもそ〜と立っている。
ようやく脱げた、と思った次の瞬間、予想外のことが起こった。
予想外だ。予想外。まぎれもなく予想外。
たのしが、薄暗い部屋の片隅に向かって、放尿したのであった。
ああ、放尿だなぁ、こういうのを放尿っていうんだなぁ、
とわたしはきれいな放物線を描いて放たれる
オシッコを眺めながら思った。
部屋に思い切りオシッコされているのに、
なぜがわたしはたのしの背中に手をやり、サポート体制。
し終えるのを待つしか出来ない。
「オシッコ、しちゃったねぇ」と言うと、
ようやく目が覚めたのか、気持ち良かったのか、
たのしはケタケタ笑いだした。
あまりにも楽しそうに笑うので、こちらも笑うしかなかった。
ケタケタ、ケタケタ、ケタケタケタ。
もう、しょうもない。
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