楽器を持って外に行く
高校生の頃からバンド漬けでした。
ピアノを習っていた女子の常で鍵盤担当でしたが、
そのうちどっぷりはまった英国周辺の音楽の、MODでもSKAでも
PUNKでも鳴りまくっている「フィドル」という楽器を知って、憧れて、
ついに数年前から習いはじめました。
ご存知かもしれませんが、フィドルとはバイオリンのことで、
ルーツミュージックというか、アイリッシュやジプシーなどの
民族音楽を演奏する時にこう呼ばれます。
民族音楽というと、結婚式や葬式などのパーティーや
辛い日常を忘れて元気を出すダンスのための音楽だったりし、
いきおい演奏されるのは衆人環境、戸外、が多くなります。
自分も、師匠(アイルランドルーツのカナダ人です)の影響もあって、
下手なりにいろんな場所に出かけて弾くようになりました。
なんといっても気持ちいいのが、自然の中で弾くこと。
代々木公園で弾きまくった時の解放感は忘れられません。
その日は師匠のバンドが友人の結婚パーティーで弾くことになっていて、
自分はもちろん飛び入り参加。
とにかくついていこうと必死で楽器と格闘していてふと気づいたら、
いつのまにかまわりに人垣ができていました。
アイリッシュやスコティッシュのセッションは、
誰かが弾き始めた曲がアイコンタクトやちょっとしたきっかけで
周辺コードのちがう曲へと変わっていき、
知らない曲と思って弾きやめていたら突然聞いたことある曲になって、
慌てて参加してるうちにまたちがうフレーズになって行く、
その繰り返しで、全員がやめるまでえんえんと続きます。
そこへ突然、師匠がこっちを見てウインクし、
その時練習中だった曲を超ハイスピードで入れてきました!
それからのことは、夢かスチール写真の連続のようで。
半端でなく速いスピードに手がもつれ、
間違えても気にする間もなく、
「俺の方が速い!」と競い始めるバンドの面々が全員ニコニコしてい、
たくさんの盛装した人たちがビールと手拍子で盛り上げてくれたこと。
花嫁と花婿が踊りながらキスをしていたこと。
こんもりした木の葉から夏の日差しが漏れて、
緑がまぶしくて目に沁みたこと。
気持ちイイ!気持ちヨスギル!!
・・・なんというか、楽器を弾いていると、仕事のことや人間関係や
その他の社会的なことは一切合財、飛んでいってしまうのです。
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