大人の遊び場
赤井宏
もうこうなったら最後まで俳句で行くことにします。
俳句のこといろいろ書きましたが、やっぱり句会の楽しさを書かずして終れないので。
「座の文芸」とか呼ばれるらしいけど、ひとりでうんうん唸って句をひねり出して終わりじゃなくて、句会の場でみんなの前に並べて、あーだこーだ言ってもらって初めて俳句になると言う気がするのです。
我々が博報堂関西で月に1回開いている「源八句会」では、毎回ひとり5句を持ち寄る。メンバー11人だから65句。作者がわからないようにシャッフルされた中から各自7句づつ選び、うち1句を特選とする。もちろん自分の句を選ぶのはご法度。そして、順番に自分の選んだ句を披露。そのあと選んだ理由を述べる・・・というのが大体の手順です。
何かに似ているなと思われた方?そう、コピー賞の審査みたいですね。
だから誰かに選んでもらえるとうれしいし、特選で採ってくれるとその人のことが大好きになりますね。なかでも、みんなが固唾を飲むのが主宰特選の発表。いわばグランプリ発表です。その瞬間、「おお」とか「ほお」とか「うーん」とか、いろんな言葉が洩れます。「賛辞」と「嫉妬」と「落胆」が入り混じった、なんとも言えない感嘆詞です。
ときにこの栄誉にあずかることもあるけど、逆にまったく誰にも選ばれないということもあって、そんなときはかなり落ち込みます。主宰にたずねたら、主宰でも選ばれないと眠れないことがあるそうだから。その悔しさが俳人を育てる栄養分になるのでしょうね。
ところで、巷では源八句会が楽しいと評判のようです。私の場合、なにしろ生れて初めての句会がここでしたから、句会とはこんなものだと思っていましたが、どうも違うらしい。
聞くところによると、普通の句会では主宰の先生が絶対的な存在で、私語などとんでもない。みんな主宰の言うことをありがたく拝聴するものだとか。
一方、源八では、私語・爆笑は当たり前、すぐに話は脱線するし、揚句の果には、主宰の指導に反論までしてしまう始末。でも和気藹々の3時間。最後には、みんな「ああ面白かった」と帰っていく。そんな句会です。なかなか良くできた、知的な?大人の遊び場。もしも興味があったら遊びに来てください。
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