リレーコラムについて

夢のコラム(4)

渡邉寛文

それは、まだイタイケな幼稚園児の僕。
と、ちょっとオトナになった大学生の僕の話。

幼稚園児の頃の僕は、とにかく乗り物が苦手でブランコすら酔ってしまう
デリケートなこどもでした。

乗り物が苦手ということは、ほぼほぼ必然的に遠出が苦手ということになるので
「家族そろって行楽地までお出かけ」という普通のこどもなら
当たり前に喜ぶことが、僕は当たり前に好きでありませんでした。

そんなんだから、特に遊園地に行くというイベントは、
僕にとっては地獄のようなイベントで、それはあの夢の国といえども一緒でした。

ミッキーやミニーは
鋭いキバやツメをどこかに隠している地獄からの使者に見えましたし、
アトラクションに乗るための待ち時間は
エンマさまの裁きを受けるための黙祷の時間に感じていました。

幼稚園児の僕にとって、遊園地はオトナになるための修行の場所でした。

しかし、修行は、ほどなくして終わりを迎えます。

カラダの成長が進むにつれ、僕はだんだんと乗り物につよくなり
遊園地が好きになっていきました。

そんな経緯で訪れたオトナになってからの夢の国。

大学生の僕は恋に落ちた女性とディズニーランドに行きました。

僕は女性とディズニーランドに行くのはそのときが初めてで、
彼女もまたディズニーランドに男性と行くのは初めてでした(と言っていました)。

それは、もう、ビックリするくらい楽しい時間で、
ミッキーとミニーは天国からの使者に見えましたし、
待ち時間さえ神さまに迎えられるための洗礼の時間に感じました。

ふたりはアトラクションに乗るたび
キャッキャ×2とハートマークがつくような奇声を連発し、
はたからみたらすごくいいカップルでした。

ただ、僕らにはひとつ問題が。

彼女には、長い間お付き合いしている遠距離恋愛中の彼氏がいたのです。

その女性はもともと関東の人ではなかったので、
短大を卒業すると同時に地元に帰ってしまう予定でした。

だから、それは、友達として、カップルになるためのデートではなく、
お別れのためのデートでした。

彼女は、その後、当然のように彼氏のもとに帰っていき、
僕らはそれぞれの人生を歩むことになりました。

僕の淡い恋は終わりました。

ただ、そのデートは、本当に夢のような時間で
ステキな思い出のひとつになりました。

ひょっとしたら、遊園地は大人が夢を見るための場所なのかもしれない、
このデートを通じて、ちょっと思いました。

夢を見るといえば、コラムのタイトルの夢について、
くだらないアプローチでダラダラと書いてきましたが、
そんなコラムもつぎが最終回です。

恐縮ですが、あと一回お付き合いいただければ幸いです。

ちなみに、いま、そんなに眠くありませんが、個人的なルールなので。

と、いうことで。

それでは、みなさん、いい夢を。

おやすみなさい。

NO
年月日
名前
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