取手事件 2
「新聞屋です。」
おじさんはうつむいたままボソッと言い残し、
階段を駆け下りて行きました。
私は急いで後を追い、マンションの外に出ました。
早足でどんどん歩くおじさんの横に並び、問い詰めました。
「待ってください。
新聞屋が人の家に勝手に入るわけないですよね。
あなた誰ですか?
私の部屋で何してたんですか?」
「入ってません。何もしてません。」
「入ってたじゃないですか!
さっき私の家から出てきたじゃないですか!」
「入ってません。」
「そこの交番まで一緒に来てください!」
「いやです。」
私はおじさんのネクタイをつかみ、
無理やり交番まで引っ張って行こうとしました。
ところが、おじさんは頭をくぐらせてネクタイを首からはずし、
猛ダッシュで逃げ出しました。
「誰か!あの人を捕まえてください!!」
つづく