リレーコラムについて

いちご大福に電話をかけたのは

中山佐知子

いちご大福に電話をかけたのは昨日だった。
いちご大福は今年新人賞を受賞した36歳で
36歳を若者というのかおじさんというのか微妙なところだし
いちご大福の風貌がさらにその判断をむづかしいものにしている。

イチゴ大福佐藤は新人賞の発表があったとき
喜びのあまり自分の先輩と私に焼き肉をご馳走してくれた。
先輩とイチゴ大福の世界ではもともと
「新人賞を取ったら先輩に焼き肉をおごれ」という条例が
発令されていたらしいが
喜びの勢いとどまるところを知らず、ついに余所者の私にまで
ご馳走してくれることになったのである。

それは白金あたりの高そうな焼き肉屋だった。
いっぺんにこれほどの肉を見たのははじめてだというくらい
大量の肉が目の前にあり
イチゴ大福佐藤はその肉を破竹の勢いで食べ進んでいた。
イチゴ大福の先輩も負けずに食べていた。
サラダもナムルも冷やしトマトも蒸発かと思える速度で消え、
またしても肉のおかわりを頼んだ。
イチゴ大福佐藤の財布は今夜限りで滅亡の運命にあったが
現在の新人賞の喜びに気を取られるあまり
未來にまで考えが及ばないようだった。

さて、焼き肉屋を出てバーへ行った。
あれだけ大量の肉を食べたにしては時間は早く
バーの向いの和菓子屋がまだ商売をしていた。
イチゴ大福佐藤はいそいそと買いに行き、自分と先輩の分の
イチゴ大福とイチゴでない大福を首尾良く入手して戻った。
その二種類の大福は帰宅後に早くも胃におさめてしまったそうだ。

それ以来、私は佐藤理人くんのことを「イチゴ大福」と呼んでいる。

前置きが長くなったけれど
昨日イチゴ大福に電話してリレーコラムを書けと命じたところ
ぼぼぼぼぼくが書いていいんですか〜と恐懼していたのが
面白かった。

そんなわけで、来週はイチゴ大福佐藤理人くんの担当です。
たぶん6月3日のパーティにもあらわれるはずなので
「イチゴ大福」と呼んでやってください。

NO
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