中山佐知子さんから電話がきたのは
中山佐知子さんから電話がきたのは木曜の午後だった。
ぼくはそのとき会社を休んで秋葉原のAppleストアにいて、
前日に急逝したiMacの跡継ぎを探しているところだった。
聞けばリレーコラムを書けとおっしゃる。
そういうものの存在は風の噂に聞いていたが、よりによって中山さんからまわってくるとは…。
気分はもう「極道の妻たち」で成田三樹夫に呼び出され、
「柿沼のタマ取ってこい」と命令された世良公則。最初から選択肢は一つしかありません。
「ぼくはまだ正式に会員になってないと思うので…」
とやんわり他の人に振ることをオススメしてみたものの、中山さんは、
「ふーん、じゃあ私から事務局に話してみる」と軽やかに電話を切り、
3分後には「会員登録は6月からだけど、1日オマケしてくれるって!」
とおっしゃった。さあ、困った。どうしよう。
そもそもなぜ、いったい、どうして、日本ラジオCM界の、もとい広告界の大巨匠から、
ぼくみたいな三下のチンピラにバトンがまわってきたのでしょう。
さっぱりワケがわかりません。謎です。ミステリーです。
もしかすると焼肉をたいらげる様を見て、ぼくのことを
「よく食べる気のいいアンちゃん」くらいに思ったのかもしれません。
だとすれば、それはとんでもない誤解です。
どこへ出しても恥ずかしい筋金入りのダメ人間。それがぼくの正体です。
もし知っていれば、バトンを渡すことなど絶対になかったはず。
知らないとは恐ろしいものです。もし他の人に頼まれていたら、
ド直球の下ネタ甲子園にして乗り切るところでしたが、もはやそうもいきません。
ぼくにとってこのバトンは、いまやとてつもない重みを持つ鋼鉄のバトン。
しかも渡すというより、見えない角度からいきなり後頭部をブン殴られたようなインパクト。
完全に頭蓋骨陥没のパニックです。ああ、困った。なに書こう。
でも考えてみれば、知らないとは逆に面白いことでもあるのかもしれません。
少なくとも中山さんは知らないからこそ面白そうだと思ってくれたわけです。
ならその期待になるべく応えられるよう、がんばるのが筋ってもんですよね。
ぼくの名前は、佐藤理人。へ理屈の理に人で、「みちひと」と読みます。
いまをときめく東畑幸多さんと大宮エリーこと大宮恵里子さんを同期にもつ、
否が応でも謙虚にならざるを得ない12年目。
コスプレ衣装通販会社のポスターで今年新人賞を頂きました、
アキバ系コピーライターです。
それでは、あと4日よろしくお願いいたします。
あ、ちなみにまだ35歳です。(もう、か)
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