ディテール
はじめて就職したのは、地元の設計事務所でした。
当時、私は「ディテール」というものが苦手でした。
全体のコンセプトだったり部屋の配置だったりを考えるのは大好きだったのですが、
枠の納まりとか、壁の仕上げとか、そういうところになかなか意識がいかず、
なかなか知識も身につきませんでした。
いま考えると、「苦手」とかいうことよりも、
「この道で食べていく」みたいな覚悟がなかったという話かもしれません。
その頃、ある勉強会に参加したときに言われたことがあります。
「ディテールがなければ、建築家としての職能を果たしているとは言えない。」
その通りだと思いました。
コンセプトばっかり考えたい!
そう思った私は、仕事を変えることにしました。
コピーライターをめざし始めたころ、
コピーを書く=コンセプトを考えることだと思っていました。
いつも、新しい視点だったり、切り口探しばかりをやっていました。
けれど、自分が書く言葉はどうもコピーっぽくならないし、金の鉛筆ももらえない。
コピーにもディテールが必要だと気づいたのは、
書きはじめてしばらく経ってからのことでした。
その頃のことを思い出すと、建築云々よりも、
そもそも社会人としての基礎ができてなかったと思うので、
最初の事務所の所長には、本当にお世話になったなと思います。
というわけで、今日のお手紙。
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拝啓 所長様
ごぶさたしています。
電話の取り方とか、仕事に対する姿勢とか、
いろいろ教えていただいてありがとうございました。
いま、こんなことやってます。
敬具