私は福島の生まれです(一)
最初は大きらいな上司の悪口でも書いて
やり過ごしてしまおう、と思っていたのですが
“あの日から一年”を目前にして、それについて
まったく触れることなく、素通りしてしまうのは
ちょっとちがうかな、と安易な考えを改めまして
(素敵な良識人のアドバイスもありまして)
このコラムと向き合うことにしました。
大きらいな上司の話は、またの機会に。
ということで・・・
私は福島の生まれです。
それまでの私は誰かに出身地を聞かれると
迷わず「会津です」とこたえていました。
それは、偏狭な郷土愛とでもいうのでしょうか。
「あいづ、ですか・・・? あの白虎隊の・・・」
大抵の会話はそこから膨らむことなく、終了します。
そんな相手のリアクションなどおかまいなく
意識的にそうしていました。
コミュニケーションの幅を狭めてしまうとしても
そうしていました。
もちろん会津は、福島県にある一地域を指す名称です。
それでも、風土や文化もまったく異なる他の地方と
一緒くたにして「福島です」とこたえることに
ちょっとした抵抗を感じていたのです。
一年前のあの日、東日本大震災がなければ
きっと今でもそうしていたし、そうすることに
何の疑いも抱いていなかったと思います。
けれど、震災は起きてしまいました。
そしてあまりにも大きな爪痕を福島にのこしました。
会津地方は、震災被害も原発事故の影響も
ほとんど受けることはなかったわけですが
震災が私に「福島」を意識させたことは確かです。
きれいごとに聞こえるかもしれませんが
共有しなきゃいけないと思いました。
「福島」という言葉が一瞬にして
背負ってしまった悲哀や誤解そして偏見を
自分も背負わなければならないと感じました。
それが被害者ではなく、当事者としての自分に
できる最低限の行動だと思うのです。
だからいま「私は福島の生まれです」と言っています。
もしくは「福島の会津の生まれです」と言っています。
そして、こうも付け加えるのです。
「福島は大丈夫です。一度足を運んでみてください」と。
万が一、このコラムをご覧になっている方のなかに
福島への風評や流言、戯言に惑わされている方がいらっしゃるなら
こんど膝を交えて、納得のいくまで話してみませんか。
福島の地酒と肴を用意して、お待ちしております。
いつでもお相手させていただきますよ。
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