うぐいす色の空
それは、高三の夏休みの佐渡ヶ島でのことでした。
小中学校を過ごした母の実家のある島に帰省したときに見た空です。
海とつながる湖の小さな橋の上での出来事でした。
左に波止場、右てには牡蠣の養殖の筏と向こうにはブルーグレイの
低い山々…、いつも通りの風景があります。
明日、東京に戻るという前日の昼すぎです。
自転車から降りて見飽きたはずの景色を見ていると、
山の上の空の色がゆっくりと緑色の空に変わっていきました。
光の色の屈折が起こすことだろうとは想像できるけれど、
一度も見たことがないし、この後も経験がありません。
夕焼けを淡い紅の水彩絵具を空に流しているよう、
とはよく聞くけれど似ています。ただその色が初めての色。
(この夏のことを思い出したのは、友人古居利康さんが、コピーライターズストリートで執筆した「緑色の空の話」を読んで鮮明に蘇ったからです)