再会
それは、僕が小六の11才の夏休みのことでした。
佐渡の夏はけっこう暑くて男の子はランニングシャツと半ズボンで遊びまわっていました。
ボクの家は食堂をやっていて夏は「氷水」ののれんを出していました。そのせいかどうか、
店の前にはよく小さな子たちが、よく集って遊んでいました。
夏休みが始まると、いつもの子たちの中に見なれない男の子が一人いました。垢ぬけていて
都会から来た子だなとすぐにわかりました。集まりの話を聞いていると一人話がかみ合わないようです。
でも負けず嫌いも見えてきます。そこが面白くて輪の中に入るとすぐに仲良くなりました。
一人っ子同士ということもあるのでしょうか。次の日から毎日うちに来るようになりました。
二人で毎日、近くの秘密基地や海や川を散策しました。
そうした日がつづいて突然いなくなりました。ボクのいないときにお母さんと家に来たらしく、
「つかにいちゃん、ありがとう」とかいてある便箋がありました。
もう、忘れていた七年後の夏休み、突然その子が一人でやってきました。
最初、誰かわからず戸惑いました。もう中二で僕より大きくなっていました。
つかにいちゃんと言った時の笑顔で、ぜんぶ思い出しました。