ラッキーです
青森県弘前市で生まれ育ちました。
日本一聞き取りづらいと言われている、
津軽弁が使われる地方です。
津軽の人がテレビに出ると、
確実に字幕が使われます。
ウィキペディアにもこうあります。
『津軽の医療現場で地元出身でない医師や看護師が
患者の津軽弁を誤認する問題も起こっている』
…なるほど難解な方言なんですね。
時にはネイティブの人間どうしでも、
聞き取りを間違えたりします。
◆
事件が起こったのは、高校時代でした。
ラグビー部の先輩が部室の隅に隠れ、
タバコを吸っていた時です。
普段は先生が来ない穴場だったのですが、
その日は運悪く、学校で最も怖い体育教師が
突然、入ってきてしまったのです。
部室の隅で怪しく動いて火を消している先輩に、
先生は、バリバリの津軽弁で尋ねました。
先生:おめ、なにすちゃんだ?
(標準語:おまえは、なにをしているんだ?)
それを先輩は、こう聞き違えたのです。
先生:おめ、なにすっちゃんだ?
(標準語:おまえは、なにを吸っているんだ?)
すでにタバコがバレたと判断した先輩は、
何も隠す気なく、こう答えました。
先輩:ラッキーです。
先生:何がラッキーだ?
先輩:だからラッキーです。
(先輩は、当時ラッキーストライクを吸っていました。)
先生:何がラッキーだ?
先輩:ラッキー吸ってます…
先生:なんもラッキーでねえ!
(標準語:おまえがラッキーなことは何もない!)
何をしているか訪ねただけの先生に、
先輩は、タバコを吸っていることを
バラしてしまったのです。
先輩は、もちろん停学になりました。
当時リーゼントだった先輩は、
いまは、お寺の住職になり、
ご活躍(?)だと聞いています。
先輩、今もラッキーですか?