→を書く仕事
生駒健太
最後のコラムです。
通常の人の倍以上の時間をいただくことになってしまいました。
開き直りではないですが、実際、コピーを書くのも遅いです。
最後なので、初心に帰ってみようと思います。
僕は3年前に社内の制作試験に備えて
宣伝会議のコピーライター教室に通っていました。
そこで教わったのは、POOLの小西さん(通称コニタン)。
コニタンの授業は、結論から言って
まったくコピーの技術の勉強になりませんでした。
ですが、すごくコピーの勉強になりました。
どういうことかというと、
レトリックや、いいまわしや、過去の事例に学ぶなんてことはせず、
最初の発想をどうつくるか。それをどう言葉にするか。
そこだけを見る独特な授業形式でした。
次から次に、コピーライター以外のゲストを連れてきて、
彼らのお題に対して企画をするというスタイル。
今思えば、コピーのレトリックを習いたい人だったら、
返金を求めるくらいの斬新な授業でした。
そこで、コニタンから唯一教わったことは、「→」です。
つまり、A→B。
思いついたアイデアで、ターゲットや、ニッポンや、セカイに、
イメージの変化、ものの見方の変化、行動の変化を起こすこと。
その最初の発想や視点を言葉にすること。
レトリックのウマさや技術は、2の次(むしろ、こだわらなくていい)。
そのときは、そんなことよりコピーの書き方教えてくれよと思っていましたが、
今はコニタンが言っていたことが身に染みて分かります。
今もコピーの技術は下手くその部類でしょうけど、
厳しい業界の競争の中でなんとかやって行けているのは、
きっとこの→を守っているおかげなのではないかと思います。
さて、このへんで僕のコラムを終りにしたいと思います。
生駒 → アボット
アボットくんは同じ会社のコピーライターで、
名前のとおり外国人です。
めちゃくちゃ日本語がうまいのですが
よくよく聞くと日本語しかしゃべれないという出落ちネタの持ち主です。
今回TCCを受賞したコピーも持ちネタだったんじゃないかと。
そんなおもしろオーラを感じさせてくれる男です。
ちょっと真面目に書いてしまった僕とバランスをとって、きっとおもしろいネタを書いてくれると思います。
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