中途半端って言うな 2
HELLO!
MY NAME IS MARK ABBOTT.
・・・
・・・
っと、やはりこれ以上英語が思い浮かばないので、
日本語で失礼いたします。
イギリス人コピーライターのアボットです。
この前は、
イギリス人なのに英語が話せないという中途半端エピソードを
ご紹介いたしましたが、実はもうひとつ中途半端エピソードがあります。
それは、
コピーライターなのに、
芸大出身という学歴です。
ぼくの出身大学は、
京都市立芸術大学という大学。
しかもそこの美術学部、デザイン学科で
デザインを学びました。
その当時の夢は、なんとデザイナー!
ピクトグラムや、ロゴデザインに興味を持ち、
そこから広告という分野にも興味を持った
夢と希望にあふれる学生でした。
「もちろん就職するなら大手代理店だな。博報堂、、、きっと受かるハズ!」なんて若気の至りで舞い上がっていましたが、
結果は不合格。
そんな絶望の淵に追いやられた若者に、一本の電話がかかってきました。
ピロロロロロ、、ピロロロロロ、、
「はじめまして、博報堂の人事部のものですが、アボットさんですか?」
「は、、、はい。」
「この前は弊社のデザイナー採用試験に応募下さりありがとうございました。」
「いえ、、、」
「もうどこか就職はお決まりになりました?」
「それは、、、聞かないでください。」
「失礼いたしました。
実はこの度、クリエイティブの3年間の有期採用という制度が始まります。
よろしければ試験を受けますか?」
「えっと、、、はい。あの、デザイナーとしてですか?」
「いえ、CMプランナーとコピーライターを募集しています」
「なるほど、CMプランナーなら芸大出身でもいけそうですね。」
「がんばってください。お待ちしております。」
そして数日後、
なにやらわからぬまま、
企画やコピーなどの試験を受け、さらに面接も受けました。
いま思うと面接官の錚々たる顔ぶれの中、
大学時代に作ったポスターなどを見せたとき、
とある大物コピーライターが言いました。
「作品を作るとき、ポリシーとかあるの?」
「ん〜、、あえて言うなら、コピーとかが無い広告が好きですね。
絵だけで伝わることが重要だと考えます。」
「コピーは、いらないってこと?」
「はい、いりません!」
落とし穴はこの先に待っていました。
数日後、
とある会議室に4人呼ばれ、
合格発表が始まりました。
「おめでとう。君たちが今回選ばれた4人のコピーライターだ。」
ザワザワ
「ありがとうございます!」
「ありがとうございます!」
「ありが、、、え?コピーライター?」
「そうだよ。」
「CMプランナーでは?」
「いないよ。これからの会社の方針で、
クリエイティブはデザイナーかコピーライターしかいないから!」
「・・・・」
「おめでとう!これから、立派なコピーライターになることを期待してるよ!」
なんですと??
コピーライター??
コピーなんて、いらないって言いましたやん!!
え?どゆこと?
な〜んて思う暇もなく、
入社日を迎え、研修を終え、
コピーライターとしての人生を歩み始めました。
そう、
気づいたらコピーライターになっていた僕。
大学でデザインばっかりやっていたのに、
大学でコピーなんていらないなんて言っていたのに、
あぁ、なんたる中途半端ぶり。
でも、就職が決まると、
もうやるしかない!と吹っ切れたのも事実です。
デザインを勉強してきたコピーライターが
良い風に転ぶか、どうなるか、
これからが見物です。
きっと。
注:CMプランナーを新卒で採らなかったのは2007年入社当時の話です。
現在の博報堂には、CMプランナーという職種は存在します。
注:クリエイティブの有期採用試験は現在は募集していません。
といったところで
第2回 ABBOTT’S COLUMNも終わりに近づきましたが、
最後に芸大にまつわる日本語の言葉のお勉強をひとつ。
みなさんは「芸大」と「美大」の違いをご存知ですか?
行ったことのある人は知ってると思いますが、
関わりのない方は意外と知らないこの違い。
「芸大」は、美術学部と音楽学部のある学校。
「美大」は、美術学部のみの学校なんです。
芸術の二大要素は美術と音楽。
その2つを教えるから芸術大学なんですね。
でも、僕の通った京都芸大は、
2つの学部の交流は少なかったように思います。
もっと学生時代に音楽にも触れておけば良かったなぁと
ちょびっと後悔。
それでは、また次回。
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