コマーシャル・メッセージ・プランナー
ソニーがアップルに楽曲提供を始めましたね。
そのニュースを見て、ふと、15年前のアップル・コンピューター(当時)のCF「Think Different」を思い出しました。
そこに出てくる、
About the only thing you can’t do is ignore them.
(でも、彼らを無視することは、
誰にも出来ない。)
というナレーションが、いま、本当に実感を伴って聞こえてきます。
iPhoneもiPodもなかった時代。
macのシェアはwindowsの数十分の一だった時代に、このCMは流れました。
いま改めて見直し、ナレーションを聞き直すと、
その後イノベーションを連発するアップルの姿勢にぴったりと重なって見えます。
——————————————————
Here is to the crazy ones.
クレージーな人達がいる。
The misfits, the rebels, the troublemakers,
反逆者、厄介者と呼ばれる人達。
The round pegs in the square holes, the ones who see things differently,
四角い穴に、丸い杭を打ち込むように、物事をまるで違う目で見る人たち。
They’re not fond of rules. And they have no respect for the status quo.
彼らは規則を嫌う。彼らは現状を肯定しない。
You can quote them, disagree with them,
glorify or vilify them.
彼らの言葉に心をうたれる人がいる。反対する人も、賞賛する人も、けなす人もいる。
About the only thing you can’t do is ignore them.
でも、彼らを無視することは、
誰にも出来ない。
Because they change things.
They push the human race forward.
なぜなら彼らは物事を変えたからだ。彼らは人間を前進させた。
And while some may see them as the crazy ones.
we see genius.
彼らはクレージーと言われるが、
私たちは天才だと思う。
Because the people who are crazy enough to think,
they can change the world,
are the ones who do.
自分が世界を変えられると本気で信じる人達こそが、本当に世界を変えているのだから。
●英語版
●日本語版
——————————————————
最後の
「でも、彼らを無視することは、
誰にも出来ない。
なぜなら彼らは物事を変えたからだ。
彼らは人間を前進させた。
彼らはクレージーと言われるが、
私たちは天才だと思う。
自分が世界を変えられると本気で信じる人達こそが、
本当に世界を変えているのだから。」
の部分は、普通の人間じゃ書けないと思いませんか。
ものすごい決意と、世の中へのファイティングポーズを感じます。
病気と戦いながらも、死ぬ直前のぎりぎりまでなんであんなに必死にやったのか。
その答えがすでに15年前に発信されていたのですね。
僕はこのCFをはじめて見た時、実は、ピンと来ませんでした。
でも、世界中の人々がiPhoneを持って、iPodで音楽を聞いている今になってみて、
はじめてこのCFに感動してしまいました。
CF制作者からすれば、僕はきっとかなり鈍感なターゲットなのでしょう。
むしろ、制作当初はターゲットですらなかったんだと思います。
でも、時代を超えてきちんとメッセージは届いている。
CM(コマーシャル・メッセージ)ってすごいんだなと思いました。
映画やドラマに負けず劣らず、心を動かす言葉を歴史に残すことができる。
そう。
コピーライターは、コマーシャル・メッセージ・プランナーとして、
そういう壮大な仕事ができる職業でもあるのです。
※
日本でCMというとテレビCF(コマーシャル・フィルム)を指す場合が多いですが、
本来的には、広告全般がCM(コマーシャル・メッセージ)なんですよね。
そういう意味では、この業界のコピーライター、CMプランナーという肩書きは、なんだか変だなと思いつつ。
CFとCMを使い分けて、コラムを書いてみました。
それでは、また明日。
5372 | 2022.10.14 | コピーライターとスキル |
5371 | 2022.10.13 | コピーライターとAI |
5370 | 2022.10.12 | コピーライターとプライベート |
5369 | 2022.10.11 | コピーライターとリモートワーク |
5368 | 2022.10.10 | コピーライターとスーツ |