地下鉄の中での困惑
通勤のため毎日地下鉄銀座線に乗っている。
去年の秋ごろから銀座線のいくつかの駅の発車メロディーが既成の有名曲のそれに変わった。
浅草駅が滝廉太郎の「花」で、銀座駅が服部良一の「銀座カンカン娘」。
まあこの2つは、ご当地の地名を歌いこんでるということで納得はできる。
釈然としないのが上野駅で、森山直太朗の「さくら」のメロディーが流れている。
この歌のどこに上野の地名が歌いこまれているというのか。
いちおう上野公園の桜から採ったというのなら、「さくらさくら」という古典的名曲があるではないか。
現代的なテイストを狙いましたというのなら、福山雅治の「桜坂」の立場はどうなるのか。
何?福山雅治の桜坂は東急多摩川沿線にある?
あ、そ。それならこの曲は東急さんに譲ることにしましょう。
じゃあ、それじゃあですよ、飛鳥山公園の王子駅とか、目黒川の中目黒駅とか、千鳥ヶ淵の半蔵門駅や九段下駅とかとか、桜の名所を近くに擁する他の駅たちがこの曲を使いたいと言ってきたときはどのように対処なさるおつもりなんですか?
ほーら答えられないじゃないですか。
笑ってごまかそうたってそうはいきませんから。
毎日、地下鉄が上野駅を発車するたびにそんな声が頭の中に響いてきて困惑している(なんかアブナイなあ)。
ではどんな代替案があるのかと自問して、はたと考えてみる。
上野動物園にちなんで童謡の「ぞうさん」。
上野美術館にちなんでムソルグスキーの「展覧会の絵」。
上野公園にちなんでシカゴの「サタデー・イン・ザ・パーク」。
まあ悪くはないけど、どの歌にも上野の地名は歌いこまれていませんよね!
と、またもや頭の中の声が突っ込んでくる。
意外に上野を歌いこんだ有名曲って思い浮かばないのですね。
ということでネットで検索してみて見つけたのが、作詞関口義明、作曲荒井英一、歌うは井沢八郎「ああ、上野駅」という曲。
ユーチューブで確かめてみたら、確かに聞き覚えのあるメロディーと歌詞。
あー、そうだ、日本堤の居酒屋で知り合った靴ヒール製造会社の社長さんがよくカラオケで歌ってた曲だ。
上野駅の広小路口には歌碑も建っているらしい。
これでやっと肩の荷がおりた。
明日からは上野駅で発車メロディーが鳴る前にこの歌を口ずさむことにしよう(やっぱりアブナイなあ)。