不運な奴ほどよく笑う
日付は変わってしまいましたが、
さっきまで、
今年のTCCの受賞式がありました。
クライアント様をはじめ、
普段からお世話になっている多くの先輩方が
ボクの受賞を喜んでくださり、
温かいお言葉をくださいました。
もともと褒められるのは大好きなので、
それらのお言葉はすべて額面通りに受け取り、
ココロの引出しに大切にしまいこみました。
今後仕事がつらくなるたび、それらを取り出し、
サトウキビのようにしがんでしがんで、
たとえ甘味がなくなっても、
一生しがみ倒そうと思います。
そんな1年に一度の貴重な受賞式当日に
こうしてコラムを書かせていただけるなんて
なんと幸運なことでしょうか。
そして、なんと僭越なことでしょうか。
何しろ最初に書いたとおり、ボクには、
コピーについても広告についても仕事についても
人様に語れるようなものが何もありません。
座右の銘は、
「伸び悩んでもいい、やさしい人と仕事がしたい」。
イチバン好きな四文字熟語は、
「終身雇用」。
こんなしょーもない人間が、どんな偉そうなことを
のたまえるというのでしょう。
ただ、ボクが延々とこの1週間、
男子校の話で我が恥をさらし続けてきたのは、
1つだけ理由があります。
それは、
書くにしろ読むにしろ
「うまく行かなかった話のほうが面白い気がする」
ということです。
例えば、今年
ACCのグランプリをいただきました。
コピーのクラフト賞もいただきました。
どうです?
ぜんぜん面白くないでしょう?
もちろん、ボクのことを知ってくれている方は
大いに喜んでくれることでしょう。
でも、ボクのことをまず知らない、だけど
このコラムを読む大勢の方にしたら
「知らんがな」「自慢かよ」
という一言で片づけられてしまう話です。
そうです。
うまく行った話は面白くないのです。
少なくともボクは、
成功した話を面白く語る術を知りません。
でも、
「中学生の頃、太りすぎて老けていて
床屋で『ダンナ仕事は休みですか?』と言われた」
「社会人4年目、夜中に女子を片道2万円もかけて
タクシーで送って結局そのまま逃げられた」
どうです?
さっきよりは、ちょっと面白そうな気がしませんか?
うまくいかなかった話は、面白い。
それはつまり、
現在うまく行ってないことは
まちがいなく未来で面白い話になる、ということです。
たとえば、いま
勉強ができない。運動ができない。
希望の会社に入れない。希望の職種に就けない。
好きな人に振り向いてもらえない。
そんな悩みが解決するかはわかりません。
ただ、解決しなくても「面白いネタ」にはなります。
男子校の6年間は本当に悲惨でした。
でも、いまから振り返ると、
それは本当に面白い6年間でもあったわけです。
つらい話ほど、あとでウケる。
そう思うと、もしかしたら
人生に損はひとつもないのかも、と思うのです。
……ま、とかいって、いまつらい目にあわないのが
やっぱり一番なわけですが。
万が一このコラムを読まれたボクの周りの皆さま、
「だったら中川に思いきり
つらい目にあわせてやろう」などと
ゆめゆめ思わないよう、よろしくお願い致します。
念のためお伝えしておきますと、
ボクの2番目に好きな四文字熟語は「平穏無事」。
3番目が「現状維持」です。
※※※
…というわけで、長々と乱文を失礼いたしました。
来週からのコラムは、
新人賞仲間の渋谷三紀さんです。
渋谷さんとは、
ともにラジオCMで受賞したり、
スパイクスアジアに偶然ともに派遣されたり、
年鑑の撮影時にともに衣装をはりきりすぎたりと、
10人の同期の中でも特に縁の深い方です。
笑う時に、メチャクチャ楽しそうに笑う、
とても魅力的な方です。
そんな渋谷さんがどんなお話を書かれるのか。
皆さま、お楽しみに。
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