良いプレゼンが負けた理由
A社のプレゼンは、データの取り方や理論構築が完璧で
クリエイティブ的にも質の高いものでした。
競合の中では群を抜いていたと思います。
部課長も私も、A社の提案が妥当と考え、
上へ報告しました。
しかし、採用となったのはB社でした。
表現にちょっとした冒険があり、
それが、上層部の心をくすぐったわけです。
ここまでの話の流れでは
「やっぱりチャレンジした表現の方がいいんだ!」と
思われそうですね。
また、宣伝課は保守的で、優等生な案を選ぶのに対し、
トップは先見の明があり、真にいいものを選ぶのだ、とも。
たしかにトップや、それに近い人は
勘が鋭く、少し先のことが見えています。
好奇心が強く、勉強好きで、自分の欲求に忠実。
ゆえに「多くの人が欲するものは何か」を
うまく察知できるようです。
彼らが「いい」と感じ、選んだものは、
たいてい悪くなかったりします。
ただ、彼らも、ひとりの人間です。
考えに偏りがあるし、見えていない部分もあります。
彼らが違う点は、失敗を挽回する能力が強いこと。
ゆえに失敗を恐れないし、
失敗するかもしれないことにも挑戦します。
つまり、ジャッジの全てが
正解や成功というわけではないのです。
もちろんB社の案は、どこか突き抜けたところがあり、
それを選択した上層部の判断は正しいと思います。
しかし、採用に至らなかったA社の案にも
新しい視点とチャレンジはありました。
A社が負けた ほんとうの理由。
それは、宣伝課がトップに負けていたからです。
「B社の案はたしかに良いが、
A社の案を私たちが選んだのは、
こういう理由がある」
と、納得させるだけのチカラを
私たちがつけていなかったからなのです。
常日頃から自分たちもアイデアを出し、
目に見える効果を示しつづけていれば
「A社を選びたい」という意見は通ったでしょう。
宣伝課に必要な能力は、クリエイターにも負けない
発想力と提案力ではないか。
それらの実力によって、社内を納得させるだけの空気を
日々つくっておかなければならないのではないか。
そんなところまで広告代理店に
“代理”をしてもらってはいけないはず。
私は、そう思います。
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