リレーコラムについて

Cher Louvre

関一行

今月の21日から国立新美術館にてルーヴル美術館展が開催される。
数年前、そのパリのルーヴルを貸し切って撮影を行ったことがある。
モナリザをはじめ、歴史的名画たちが放つハンパないオーラに包まれながら
連日深夜の撮影が続いた。
背景に映り込む絵画は全てが本物。
実際これを美術費として換算したならば、いったいいくらぐらいになるのだろう。
それを考えると贅沢極まりない撮影だった。

そのシリーズは4回にわたった。
1作目を撮り終えてから数ヶ月後の3月11日、日本はあの震災に見舞われた。
直後、多くの美術館が放射能汚染を理由に予定されていた日本での美術展を
相次いで見合わせた。
しかし、そんな状況の中、ルーヴルは、岩手、宮城、福島の東北三県での巡回展
の開催を発表した。

そのニュースを聞き、ルーヴルのスタッフ、現場を共にしたフランス人クルー
たちの笑顔が真っ先に浮かんだ。
ありがとう、館長ムッシュ ロワレット。Merci beaucoup,Louvre!

再びルーヴルを訪れた際に、僕はそのお礼を伝えた。
彼らは「当たり前のことをしただけだよ。ルーヴルは作品を集め、芸術、学術、
歴史を研究するだけのところではなく、ましてやそれらを保存するための倉庫で
もない。我々の仕事の存在理由は、むしろ今回のような貢献にこそある。」と
語ってくれた。

再びルーヴル展が開催される。
僕も脚を運ぶつもりだ。
(2月21日〜6月1日まで 東京六本木 国立新美術館にて開催)

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