夜の採用広報
昨年、今年も、さまざまな企業や学校、団体の採用広報、つまり仲間集めのコピーを書かせていただきました。その中でも、印象深い仕事のひとつが、新宿のあるホストクラブの仲間集めです。
きっかけは、僕の高校ラグビー部の後輩であり、現在、NPO法人シブヤ大学の代表を務める男からの電話。「北さん、僕の親友でとても面白い男がいて、彼が困っているので力になってあげてくれませんか?」という、なんとも曖昧な依頼がやってきました。で、話を聞いてみると、新宿歌舞伎町でホストクラブや飲食店をいくつも経営しているグループの代表が、今後の事業拡大に向け、改めて自分たちのビジョンを言葉にし、みんなで共有したい、と。さらに、そのビジョンに共感する優秀な人材を集めたいと言うのです。
僕はひとまず、その若き代表に会うことにしました。すると、その代表は男の僕でも惚れてしまいそうになるほどの、いい男。彼の半生や志、仲間への想いも胸が熱くなるような内容にあふれていました。ただ、ひとつ問題だったのが、僕が今からつくる言葉の受け手、ホストおよびホスト志望者という人たちのことを、僕自身がほとんど知らないということでした。
そこで、まず僕はその代表に「体験入店させてくれませんか?」とお願いしてみるも、さらりとかわされてしまいます。源氏名をもらえるチャンスだったのに…と一瞬落ち込みますが、気を取り直して100人を超えるホスト全員へのアンケートを提案。彼らの気持ちの一端を集めることに成功しました。
しかし、そのアンケートの集計結果が、逆に僕を悩ませることになるのです。正直、通常の採用広報でモチベーションを高めるような言葉を並べても「よくわかんね」と一蹴されてしまいそうなボキャブラリーが回答用紙に並んでいました。と、ここで北九州市で生まれ育った経験が役に立ちます。「もしかして、あのやり方なら」と解決の糸口を見つけ、なんとかプレゼンまでこぎつけました。
最終的に提案した言葉は、「新夜創造」。
そう、通常は堅いと忌み嫌われる四文字熟語です。ただ、今回のターゲットたちには「かっこいい」とすごく喜んでもらえました。もちろん、この四文字熟語には見た目、響きだけでなく、彼らのビジョンも詰め込みました。日々の仕事の中でも、「そのシャンパンコールは新しい夜の価値をつくってる?」みたいに使われるといいなあと思っています。その詳細は、彼らのホームページ(https://www.smappa.net/about/ )でご確認ください。
と、今回は夜の採用広報について書いてみました。
もしかしたら、昼より向いているのかも。