私をコピーライターにした男たち<番外編>〜グリーンリボンキャンペーン〜
7年半勤めたクイックを退職後、原宿サン・アドへ。
そこで出会ったのが、4人目の男性、CDのSさんです。
AD出身のCDでしたが、私の得意・不得意をよく理解してくださり、
「木村さんはね、とにかく自由に、のびのび書くのがいいよ」と言って、
色んな仕事に誘ってくださいました。
そのSさんと2年間一緒にした仕事が、グリーンリボンキャンペーン。
このキャンペーンのことは多くの人に知っていただきたいですし、
コピーライターとして色々と考えさせられた仕事でもあるので
今日は番外編として、書いてみようと思います。
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グリーンリボンは、世界中で使用されている移植医療のシンボル。
乳がんの啓発活動として知られる「ピンクリボン」とほぼ同時期の
1980年代にアメリカで始まったものです。
ピンクリボンは日本でも広く知られていますが、
グリーンリボンの認知度はまだまだ低く、
それに伴い、臓器提供による移植数も臓器提供の意思表示率も
海外に比べて圧倒的に低いのが実情。
現在、日本には移植を待っている方が約1万3000人いますが、
臓器提供によって救われるいのちは、年間わずか300人。
毎年多くの方が、移植を待ちながら亡くなられています。
この状況をまずは知ってもらい、関心を持ってもらうべく、
毎年10月の臓器移植普及推進月間に合わせて行っているのが、
グリーンリボンキャンペーンです。
私が担当していた1年目は、
「YESでも、NOでもいい。あなたの意思を表示してください。」
というメッセージのもと、
とにかくハードルを下げたコミュニケーションを行いました。
というのも、私自身がこの問題について初めて考えたとき、
「『臓器提供の意思表示をしてください』って言われると、
『提供します』と意思表示しないといけない気がするなぁ」
と思ったからです。そしてそれが、
意思表示率の低さにつながっているとも思いました。
意思表示は、NOでもいいんです。
気持ちが変われば、書き直すこともできます。
たとえば、「角膜は提供したくない」など、
提供する臓器を選ぶこともできます。
大切なのは、自分の意思を示すこと。
意思表示をする人の母数が増えれば、
自然と移植数も増えると考えました。
そして2年目は、
「誰かのために、できること。みんなで意思表示の輪を広げよう。」
というメッセージで、より拡散を意識したキャンペーンを行いました。
つるの剛士さんをMCに迎え、開催したライブイベントでは、
「臓器提供は、命のシェアです。
YESでもいい。NOでもいい。あなたの意思表示を。」
というテーマで、移植医療の実態を伝えるポスターも掲出。
多くの来場者が「考えるきっかけになった」と言ってくださり、
その場で免許証の裏に意思表示をした方もいました。
臓器提供と聞くと、自分や自分の大切な人が
「提供する」ことをつい想像してしまいますが、
その逆の可能性も十分にあります。
自分にもしものことがあった時、
意思表示をしていなければ、家族を悩ませることになる。
一方、自分の大切な人に何かあった時、
その人が意思表示をしていれば、
その意思を尊重することができる。
そう考えると、臓器提供の意思表示は、
綺麗事でも、他人事でもない。
自分事としてきちんと考える必要のある、
自分に与えられた権利なんじゃないかとも思いました。
いのち、特に移植医療という繊細なテーマについて
言葉を書くというのは、色々と難しいこともありましたが、
実際にキャンペーンの現場に向かい、
移植医療への理解が少しずつ浸透しているのを目の当たりにしたり、
移植待機者や実際に移植をされた方の声を聞くたびに、
言葉の重要性を改めて感じました。
私はこの仕事を離れてしまいまいましたが、
現在もグリーンリボンキャンペーンは続いています。
つたない文章ではありますが、
このコラムが移植医療や臓器提供の意思表示について
考えるきっかけになってもらえるとうれしいです。
⚫︎グリーンリボンキャンペーンについてはこちらから。
http://www.green-ribbon.jp
※意思表示の方法も確認できます。
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