コピーライター ☓ ニュース
タカハシマコト
僕が編集長をしている『しらべぇ』というニュースサイトは、2014年6月に立ち上げたもの。現在、毎月およそ440万人の読者が訪れ、1600万ページビュー(=読まれた回数)となっています。
しらべぇは毎日20本の記事を配信していますが、その半分は「調査データ」がネタ元。「世の中の話題 ☓ データ」が、しらべぇのコンセプトです。
なぜ、コピーライターが「ネットのニュースサイト」に目をつけたのか?
博報堂DYメディアパートナーズが発表した『メディア定点調査2015』によると、パソコン・スマホ(携帯)・タブレットを足し上げたネットメディアへの接触時間は、テレビの視聴時間をすでに超えています(東京地区)。ネットメディアが初めてテレビを抜いたのは、2014年。昨年は、ラジオの5.8倍、新聞の8.5倍、雑誌の13倍の時間、人々はネットメディアを見ていました。
でも、取材力や情報の確かさにおいては、ネットメディアはテレビや新聞、雑誌にとうてい敵いません。たとえば「センテンススプリング」編集部の取材力は、恐るべきレベル。
そこで、「ネットのニュースにも確かな根拠がほしい」と考えてつくったのが、しらべぇです。取材力の弱さは、マーケティング業務で培った調査・統計で補うことができる。
しらべぇでは、「他のメディアではお金をかけて調べないようなしょーもないこと」を調べるようにしています。しらべぇが調べるまでは、世の中に存在しなかったデータ。0から1をつくるクリエイティブと同じです。
たとえば…
・男性の15.6%、女性でも7%が、日常的に「お風呂でおしっこ」をしている
・2、30代男性の4割、20代女性でも36.7%が、鼻くそを食べたことがある
・50代男性は20代男性の1.5倍よくセックスをしているが、2、30代女性が定期的にセックスしている割合は50代男性をも上回る。
世の中にない、しらべぇだけが持っているデータなので、よくテレビ局などから使用許諾の問い合わせが入ります。
「質問をつくる」という工程は、コピーライティングやクリエイティブ作業にとてもよく似ています。「ビッグデータの時代」などといっても、データや調査パネルに対してエッジの立った質問を投げかけることができなければ、データは使いにくい数字のままだからです。
僕がコピーライターではなく、企画のトレーニングを積んでいなかったら、たぶんしらべぇは思いつけなかったでしょう。「コピー100本ノック」に代表される言葉と企画の鍛錬は、思わぬところで役に立つ。日々20本の記事タイトル編集も、コピーワークと同じです。
新しい何かを生み出すために、コピーライターとして修行するのは決して遠回りではありません。
でも、「コピーライター ☓ 自分のメディア」という発想は、ずっと昔、1998年にはすでに糸井重里さんが『ほぼ日』という形で生み出されているのですが。
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