あゆちゃん
「双子ですか。」
「違います。」
このやり取りを何度してきたことでしょうか。
妹、あゆちゃん。
妹とは、顔も背格好も似ています。
が、私たちはオセロ。
いっしょだけど、まさしく黒と白。
私は色黒、妹は色白。
色の白いは七難隠す。
幼少期にはじめて覚えたことわざです。
母に嫌みを込めて言われつづけた言葉。笑
小さい頃って、よく姉妹で同じ服の色違いとか
着さされますよね。
あれって、かなり残酷。
母は、レースがついてたり、
ひらひらした服をよく着せてきました。
もちろん妹は、かわいい感じで似合っている。
私は服に着られている、かわいそうな生き物。
「あゆちゃんは、お母さんに似て、
色白だから何でも似合うね。」
常にこんな嫌みを言われるなかで、
私は少しでも妹に近づこうと、
写真を撮るときなんか
カワイ子ぶってポーズなんかとってました。
大人になって妹と写真を見返したとき、
「おねえちゃん、キモイね。」
「私って、キモイね。」と意見一致でした。
人生の早い段階で、
オシャレとは好きな服を着ることではなく、
似合う服を着ることなんだ、と
知ることができたのは、本当によかったです。
妹と区別されている(主に母からですが)ことを
感じながら育った私ですが、
妹のことを一度も嫌いになったことはありません。
むしろ、大好き。
なぜなら、妹よりも私は優秀、と
思っていたからです。笑
勉強に書道、そろばん、絵…
何をやっても私の方が上。笑
だから、妹のステキなところも
素直に認められたんです。
妹も私を尊敬してくれていました。
妹が劣っているという訳ではないし、
田舎の学校でかなりレベルの低い話なんですが…。
そんな精神のバランスが、
子どもの頃の私を支えてくれていました。
そんなこんなで大人になり、
私は広告の仕事をし、妹は先生をしています。
法事とか親戚で集まるとき、
たいてい仕事のことを聞かれます。
妹の職業、「先生」は誰もが分かり、すぐにイメージできる。
みんな「立派だね〜。」と感心します。
私は…というと、
「コピーライター、CMプランナー」とか一応言いますが、
みんな「???」です。
細かく説明するのも面倒なので、
いちばんみんながイメージしやすい要素をピックアップして、
「CMの企画したり、ポスターに載ってる言葉を
考えたりしてる。」と言いますが、
みんな「ふーん。」って感じ。
「ふーん。」
=「よー分からん。」
=「カオリは、訳分からん仕事しとる。」
それでも、決して、
卑屈な気分になることはありません。
優越感で満たされます。
だって、妹は母のすすめで先生になり、
母の望んだ道をそのまま歩いているだけですもの。
私は、自分で決めた道を、自分で切り開いたのよ。
親戚のみんなが知らないような世界で生きているのよ。
枠から飛び出さないなんて、つまらないわよ。
みたいな、超絶ポジティブ思考になれるんです。笑
一方で、母の望んだ道、とかいっても
ちゃんと先生になり、りっぱに仕事をしている妹を
かなり尊敬している。
学校ってやっぱりいろいろ大変みたいだし。
本当にすごいと思う。
まったく別の方向を見ているけど、
背中合わせでつながっている私と妹。
尊敬と優越感。
そのバランスが、
私をがんばらせてくれる。
いまの私は、あなたでできています。
ありがとう、あゆちゃん。
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