合羽橋にて職を失う
合羽橋道具街のまつりに行ってきた。
合羽橋道具街とは主に食にかかわる道具を取り扱う店が、約170件も軒を連ねる東京の商店街である。まつりは大勢のお客さんで賑わい、鼓笛隊なんかのパレードもあったりと大盛況だった。
道具街は一直線の作りになっているのだが、パンフレットによると、横道に入ったところに公園があって、そこには地元飲食店の出店があるようだった。調理器具ばかり見ていると腹も減ってくるもので、私はいそいそと公園へ向かった。
公園には十数軒の出店が並んでいた。地元の人たちが和気あいあいとテーブルを囲んでいる。どれも美味しそうで、さて何から食べようかと悩む私の目に飛び込んできたのは「近所の店広場」と書かれた看板だった。
近所の店広場。
なんという味もそっけもない表現か。確かにそこは近所の店が集まっている広場だった。イタリアからきたピザ屋もなかったし、北海道からきた海鮮丼屋もなかった。みなせいぜい自転車で来れる距離からの出店だろう。そういえばやけに駐輪スペースが広くとられていた。それにしたってもう少し言い方があったんじゃないか。
いやしかし、これでいいのかもしれない。最近のコピーやネーミングは凝りすぎで、対象について過不足なく表現することこそが大切なのだ。
たとえば新発売のラーメンのコピーは当然「新しいラーメン」となるし、高性能の車なんかは「速い車」で問題ない。ゲームは全部「おもしろいゲーム」だ。そうすると、新しいラーメンってどんな味だろうと検索するかもしれない。速い車っていいよね、欲しい!おもしろいゲームしたーい!
そんなわけで唐突なコピーライター不要論。コピーライターたる私も例に漏れずきっちりクビになるでしょう。近所の浮浪者として名を馳せる日も近い。
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