リレーコラムについて

ブルックリンボウリング

村田俊平

「ブルックリンボウリング」というゲームをご存知だろうか。

ご存知なわけない。
これは僕たちが仲間内(ゾンビと自称する一味)だけで
やっているゲームなのですから。
もしかしたら、ニューヨークにある”Brooklyn Bowl”という
めちゃんこイケてるボウリング場なら
知っている方もいるかもしれないが、
まぁ、みんなでニューヨークに行った際、
その「ブルックリンボウル」で考案されたゲームなので
そんな名前がついているのです。

このゲームの目的は単純で、というかまぁ、
野蛮で、お酒を仲間で楽しくたしなむためのゲームであります。
この機会に広まればいいな、と思って
今回この「ブルックリンボウリング」のルールを紹介します。

まず、4人1チームくらいに別れて(多少人数は増減可)、
それから普通にボウリングに興じます。
ストライクを出したら、相手チームが、
全員ショットグラス1杯くらいの量、ビールを飲む。
スペアだった場合は?というと、
相手チームの誰か一人を指名することができるので、
その時好調だった人とかをやり玉にあげればよろしい。
やはり指名されたらショットグラス一杯分空ける。

ガターの時はどうなるか?
…あれ、その前に、ガーターでしたっけ?
それともガター?ガータ?は違いそうだけど、
まぁ、このガッター。ここがこのゲームがうまく整備されているところで、
必ずしも出した人が飲むわけではなく、
チームで協力して、1杯ショットグラスを空ける。
チビチビみんなで飲んでもいい。急に共産主義化。

はて。ここで、「ガターを出した人が飲む」みたいになってしまうと、
下手な人がさらに酔っ払ってド下手になってしまうわけであって、
そうなると、ド下手がドド下手、ドド下手がドドド下手、
ドンドンドド下手、ドドンガドン、という地獄のループから
抜け出せなくなってしまう。
あくまでチームの連帯責任とすることによって、
集中砲火を防いでいるのです。

さらによくできているのは、さっきのスペアを出した時に
狙われる人も分散されやすいということ。
たいていはスコア高マン、あるいはストライクマンが狙われる。
「ボウリングがうまくいってるのは、比較的ピンピンしているから
なわけであって、狙われてもそんなに問題ないだろう」、
という発想に基づきます。
逆にすでに酔っ払ってる人をさらにくにゃくにゃにしちゃったりすると、
毎回チーム替えがあるので、同じチームにでもなったりしたら大変なお荷物。
次ゲーム、自チーム、吹き荒れるのはガターのストーム。

要はこのゲーム、分散されるのです。
お酒の配給が。必然的に。
ボウリングという人体の平衡感覚の可視化によって。
顔つきが酔ってないように見えても、ボウルを投げれば一目瞭然。
誰か一人が強制的に飲まされるみたいな状況を打破することに成功した!
みんながふざけながら楽しく、酔狂。

〜〜〜

…とか言っときながら、
僕たちはブルックリンボウルを後にした時には
すでにべろん・べろんのへべん・れけん、
酩酊も酩酊、大酩酊(ってあるかな?)で、
よくわからないクラブに繰り出していた。
まさに人種のるつぼと化したそのクラブで
勢いに任せボックス席を抑え、気づくと請求された額が10万円超。
5人でたいして飲んでもないのに…。
誰かが普通に気づきそうなものだが、
いなかったのだ。止める人間が。誰も。
全員がまんべんなく酔っ払ってしまっていたために。

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