みみずくは黄昏に飛びたつ
仕事柄か、本についての本が好きだ。
柴田元幸さんの編むMONKEYなんかは特に大好物だ。
そのMONKEYという雑誌で昔、
川上未映子さんが村上春樹さんに
インタビューをしていたことがある。
これがまあちょっと驚くほどの面白さだった。
もともと村上春樹の熱心な読者でもなく
川上未映子は受賞作しか読んでいなかったが
作家が作家に容赦なく切り込んでいく様はなかなかだった。
作家は作家の曖昧さを許さない。
作家はそれをうまくかわしていく。
そのスリリングな攻防は
作家の大切にしていた秘密に、
自分でも言語化していなかったものに、
自身の言葉をあたえていく。
これぞインタビュー、というものだと
嘆息した覚えがある。
そのインタビューは村上春樹本人も
実はかなり気に入っていたようで
その後も回を重ねて本になった。
『みみずくは黄昏に飛びたつ』
やっぱり作家は作家を知っている。
言葉を並べることの怖さも知っている。
川上未映子がいかに真摯に
作家として生きてきているかが
ここには見事にでている。
インタビューとはこうあるべきだ。
村上春樹より
がぜん川上未映子に
興味をもってしまったけど。
(途中からリスペクトゆえの敬称略で)