リレーコラムについて

一生楽しめるアトラクション

佐久間英彰

前のTCCコラムを書いてからはや4年。
この間に起きた最大の変化が「結婚」でした。

40過ぎた私が結婚できたのは、まさに奇跡でした。

しかし結婚できたは良いけれど、
結婚当初は本当にケンカが絶えない毎日。
週に5日は喧嘩していたと思う。
まぁ価値観が合わないこと合わないこと。

少しでも怒りを収めようと一生懸命説明するも
やればやるほど火に油で1000倍になって返ってくる。

言葉を巧みに駆使してクライアントや生活者の心を動かす
コピーライターとは思えないダメダメぶりである。

ささいなケンカのはずが
いつのまにか大ゲンカに発展することが多く
正直もう限界だと思ったことが何度もあった。

そんなこんなでずっと悩んでいたある日、
弊社の本「おざわせんせい」を読んでいたら
素敵な名言が目に入ってきた。
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「俺への返事は、
 大きい「ハイ」か、小さい「ハイ」だけだ。」

今こんなことを言ったらパワハラと言われかねないが
我が家庭はこれをやるべきだったのだと、ハッとした。

広告業界にどっぷり浸かった者として
目の前の課題に対し解決を提案したがるのは、もはや癖。
でもその一言が屁理屈になっていたのだ。
うちのECDは説明など求めてない。
必要なのは「怒っている事実の理解・共感」だった。

それ以来、とにかく「ハイ」だけを心がけるようにした。
反論・説明したくなる気持ちもぐっとこらえて。
毎回同じだとバレるので理解・共感ワードを入れながら。

すると少しづつ効果が。
そのまま行くと大ゲンカに発展するようなケンカでも
収束に向かうように風向きが変わってきた。

今ではケンカも確実に減り、月に一回くらいになった。
大ゲンカはもうない。(小沢先生ありがとうございます)

世の先達からは「今頃気づいたか」と言われるだろうが
何事も経験からしか身につかないので仕方がない。

男としてのプライドなどどうでも良い。
妻とはそもそも価値観が真逆なのだし、
そんな相手が好きなんだから個性も受け入れるしかない。

それで妻がニコニコして家庭が上手くいけば万事OK。
今まで40年も一人で自由気ままにやってきた男が
ここまで変われる結婚というのは、ある意味凄いことだ。

まさに、変われるってドキドキ。なのだ。

そう自分に言い聞かせていたら
つい先日テレビで面白い結婚感を語っている人がいた。

「奥さんも同じ価値観だったらそれはもう俺じゃん。
 俺は俺と結婚しないから。
 俺と全然価値観違っている人と結婚してるんだから」
「俺全部言うこと聞くもん」

大尊敬する自由人・所ジョージさんの言葉で
肩の荷が下りた。

考えたら妻は予測できないアトラクションのようなもの。
毎日をワクワクしたい自分にピッタリなのかもしれない。
結婚は2人だからこそぶつかることも多いけど
その先にはお互いを成長させてくれるものだと感じた。

そういえば先日、義母と電話中の妻の口から「調教」
と言うワードが聞こえたが、聞かなかったことにしよう。

『結婚というものについて、
 根本的な真実を示しておこう。
 妻が管理人だ。』(ビル・コスビー)

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