扇風機・大川端編 60

女:
大川端の花火は、もう終わっちまったね―。

男:
ああ、けど暑い。

女:
神田のヤッチャバの近くでさ、みつけたんだよ。このクビフリ。

男:
ああ、つけなよ。

女:
あたいね、このクビフリの扇風機をみてるとサ、しみじみと…。

男:
おい、背中に風くれ。

女:
じき、そっちに行くわよ。

男:
しみじみ何だよ。

女:
しみじみと人生なんか思ってみたりするのサ。
右向けーと言えば右、左向けーと言えば左、上向けーと言えば…

男:
上だろ、下向けーと言えば下だろ。

女:
そ、扇風機みたいだよ、あたいたち。それにしても暑いわねー。

男:
あ、お前。てめえんとこで止めやがんの。風のひとりじめよくないよ、その性格。

女:
ちょっとぐらい、いいじゃない。

男:
扇風機というものはな、たまにフッと風がくるから風流なもんなんだよ。
この情緒わかって欲しいね。

M:
(ロゴ)ナカ~ウラ~

男:
秋葉原はでんきのナカウラ。

女:
素敵な扇風機あります。

NO.10427

広告主 でんきのナカウラ
業種 家庭電器・AV機器・コンピュータ・OA機器・通信機器・ビジネス用品・電信電話サービス
媒体 ラジオCM
コピーライター 沢井誠一
掲載年度 1984年
掲載ページ 319