「TAROMAN 岡本太郎式特撮活劇」(その他映像 300秒)  岡本太郎:
なんだこれは!

SE:
(カラスの鳴き声)

NA:
1970 年代のある日、
世界をべらぼうなものが襲い始めた。

SE:
(地響き)

S:
奇獣 森の掟

NA:
突如現れたアヴァンギャルドな怪生物。
大東京に迫るのは山を削り、
ビルを建てる人類への
大自然の怒りであろうか。

市民A:
なんだこれは!

市民B:
なんだこれは!

市民C:
なんだこれは!

キャスター:
各地は大混乱。
「なんだこれは!」の大合唱。
まさに、地球あやうし
といった状況でござあます。
司会者 あんなでたらめでべらぼうな怪物、
どうすれば良いんですかね?

博士:
私にはわかります。
でたらめにはでたらめなもの、
べらぼうなものにはべらぼうなもので
対抗するしかありません。

司会者:
しかし、あれ以上にでたらめなものなんて…

SE:
(空から謎の物体が地上へ落ちてくる)

NA:
なんだこれは!
そう、それは芸術の巨人、
タローマンである。

M:
♪~(オープニング曲「爆発だッ!タローマン」)
ばくはつだ! ばくはつだ!
ばくはつだ! げいじゅつだ!
べらぼうなゆめはあるか
でたらめをやってごらん
じぶんのなかにどくをもて
じぶんの運命(さだめ)にたてをつけ
うまくあるな きれいであるな ここちよくあるな
マイナスにとびこめ タローマン

S+NA:
でたらめをやってごらん

市民A:
なんだこれは!

市民B:
怪獣の仲間よ!

市民C:
いや、味方だ!
人間には見えない光線を出して戦っているんだ!

市民D:
あれは怪獣を不思議な踊りでなだめているんじゃ。
隊長 あの巨人は、敵ではなさそうだが…
マミ隊員 んもう。
でたらめなことばっかりしてるじゃない。

博士:
わたしにはわかります。
あれは、でたらめなことをやっているんです!

SE:
(森の掟の呻き声)

マミ隊員:
んまァ!苦しそうよ!

隊長:
あのでたらめが効いているのか?

司会者:
なんだ。でたらめなことくらい私にも…

博士:
では、いまここででたらめなことをやってみてください。

司会者:
いや、私は…人前では…

博士:
ほら、どうぞ、どうぞ、どうぞ、どうぞ。

司会者:
お、おしりペーンペーン。ガチョチョーン。

博士:
このように、人はでたらめなんか
簡単といいながら、
自分の知っている何かを
持ち出してしまうものなのです。

SL:
タローマン

NA:
展覧会 岡本太郎、開催。

SL:
タローマン

NA:
なぜ、彼らは動かないのか。
いざでたらめなことをやろうとしても、
どこかで見たことのあるものになってしまう。
それはタローマンでも同じだからだ。

SE:
(タローマンがビルを壊す)

社長:
わしのビルが!

部下:
社長!

NA:
タローマンはゆきづまった。
ゆきづまってしまった。
しかし、ゆきづまりからこそ
芸術は開けるのだ。
そう、岡本太郎も言っていた。

SL:
芸術は爆発だ!

隊長:
うわ~!

マミ隊員:
キャー!

SE:
(森の掟が爆発)

NA:
生き急ぐ現代人に合わせた
唐突な勝利と君は思うだろうか。
しかし、深く考え込むより、
衝動こそが大事なのだ。
そう、岡本太郎も言っていた。
風来坊 ずいぶんと、イカした野郎が来たもんだ!

NA:
でたらめをやってごらん

S:
TAROMANと私
山口一郎、タローマンを語る

山口:
懐かしい。
令和にまさかタローマンの放映があるなんて。
本当にタローマンファンとしては
非常にうれしいことですね。
70 年代の作品ですよね。
僕はもう再放送世代なんですけど。
セリフもですね、
いたるところに岡本太郎の言葉が使われていて
非常に見ていておもしろいですね。

S:
岡本太郎の作品《森の掟》について
山口 《森の掟》はまさに特撮の怪獣ですよね。
狂暴そうな獰猛な怪獣に、ファスナーがついていて、
そこが岡本太郎らしいなって。

S:
岡本太郎の言葉「でたらめをやってごらん」について
山口 僕ミュージシャンなんですけど、
「でたらめをやってごらん」っていう言葉って
自分の初期衝動で作品を作っていた時の感覚、
それを大切にしろよって言われている気がしますね。

NO.2023076

広告主 NHK
受賞 TCC賞
業種 娯楽(公営ギャンブル・遊園地)・スポーツおよびスポーツ用品・各種の民間イベントやリサイタルやショー・音楽関係
媒体 その他
コピーライター 藤井亮太
掲載年度 2023年
掲載ページ 150