スクウェア ファイナルファンタジーVIII
バレンタインに間にあった女 120
NA:その渋谷の電気店は人でごったがえしていた。
さすがは発売日ね。
みんなファイナルファンタジーVIIIを
買いに来てるのかなあ…あっ!
「ごめんなさい。大丈夫ですか?
…あ、キミもエイト、買うの?」
なれなれしいなぁ。
こういう時の返事は素気なく…と
「ええ、まぁ」
「すごいらしいですね、エイト」
「私、ファイナルファンタジーって
やったことがないんですけど、
友達が今度のはすごいよっていうから…」
なにいってんだろ、私。
ファイナルファンタジーは1から
全部やってるじゃない。
「そうですか。実はボクもそうなんです」
「あの、あなた、
エイトの主人公のスコールに似てません?」
どうしちゃったんだろ、私。
どっちかっていえばブサイクじゃない。
この男…
「ホントですかぁ…うれしいな」
あ、笑うと、結構カワイイ。このひと。
あれ、私、おかしいぞ。
「あのぉ…ここすごく混んでるから、もし
よかったらどっか別の場所で話しませんか?」
「…え、ええ。」
バレンタインまであと3日。ぎりぎりセーフかも。
「なんだ、ユメかぁ…」
病室の窓から柔らかな日差しが差し込んでいる。
西暦2069年の冬は暖冬だった。
ノリコはゆっくり起きあがり、傍らの
夫の写真に目をやった。ちょうど70年前の
バレンタインデーの3日前、渋谷の電気店で
初めて出会った夫は、去年なくなっていた。
ノリコはベッドの脇の引き出しから、
夫との出会いのきっかけになった
一枚のゲームソフトを取り出した。
ハッピー・バレンタイン。
ファイナルファンタジーVIII、今日発売。
NO.2373
広告主 | スクウェア |
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業種 | 娯楽(公営ギャンブル・遊園地)・スポーツおよびスポーツ用品・各種の民間イベントやリサイタルやショー・音楽関係 |
媒体 | ラジオCM |
コピーライター | 岩井俊介 |
掲載年度 | 1999年 |
掲載ページ | 177 |