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鏡の中の約束 120 NA:かわいいわね。
なんてきれいなんでしょう。
(M)~
少女の髪を梳りながら
母親は、
呪文のように繰り返した。
かわいいわね。
なんてきれいなんでしょう。
少女はうれしくなって
鏡の中に微笑んだ。
三面鏡の中の、
二人の笑顔は
いくつにも、重なって
少女はますます
楽しくなった。
そして、鏡の前に座ることが、
大好きになった。
母は、その後も、
呪文を繰り返した。
かわいいわね。
なんてきれいななんでしょう。
そして、肌の手入れや
髪の美しい結い方を、
教えた。
でも、いつの日か、
少女が気づいていた。
母以外の誰も、
その呪文を
言ってくれないことに。
親の目からだけ、自分が
美しい娘であることに。
しかし、彼女は鏡に
向かって微笑み続けた。
母を信じていたから。
いつも髪をきれいにとかし、
いつも肌を優しくいたわり、
そして、丁寧にメイクをした、
ある日、彼女の前に
一人の男が現れて、
こう言った。
かわいいね、
なんてきれいなんだ…
母の呪文は、いつか、
本当になっていた。
~(M)~
一瞬も、一生も、美しく。
資生堂
NO.25235
広告主 | 資生堂 |
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業種 | 化粧品・薬品・サイエンス・日用雑貨 |
媒体 | ラジオCM |
コピーライター | 福本ゆみ |
掲載年度 | 2008年 |
掲載ページ | 159 |