雪と
生きていく村。
雪と
生きていく手。 白い山。白い屋根。白い道。
そして、白い息。長い冬の
間、白川郷の風景は、白一色
に塗り替えられる。一晩で
1mも降り積もる日も珍し
くない日本有数の豪雪地帯。
世界文化遺産の村の朝は、
除雪とともに動きはじめる。
4時。太陽が目を覚ますよ
り早く、機械は一日の仕事
にとりかかる。子供たちが
学校に通うまでに、路上の
雪をすっかり取り除かなく
てはならない。のんびりし
てはいられない。人が多く
だけの狭い村の道では、小
さな建設機械が頼りである。
緑の車体のホイールロー
ダーは、積もった雪を道路の脇へと押し込んでいく。ぐ
いっぐいっと力を込めて。難
しいのは、道路の表面に貼
りつく氷の層を、削り取る
こと。ベテランのオペレ
ーターは、丁寧に、しかし手際
よく除雪をつづける。積雪
が多い時には、道の両側に
雪の壁が出来上がる。子供
たちは、自分より背の高い
白い壁に囲まれて、学び舎
への道を歩くことになる。
雪の壁を砕き、水路や田畑
に捨てるのは油圧ショベル
の仕事だ。人間の手なら霜
焼けになるだろうに。機械
は文句も言わず雪を砕き、
冷たい雪をすくう。
合掌造りの家々が、300
年前と変わらぬ姿で佇ん
でいる、雪の重さにつぶれ
ない急勾配の藁葺き屋根。
家中に暖かさが行き渡る●
●●。屋根の雪降ろしで窓
が壊れないための雪●い。
雪とともに生きていくため
に、先人たちがつくりだし
た知恵。その知恵に守られ
ながら、かけがえのない伝
統を守りながら、白川郷の
人々は、今を生きている。
7時。雪はまだ降り続いて
いた。「おはよう」雪を踏み
しめる音と、長靴にランド
セルの子供たちの声が、白
い空に響いた。
人のための
道具だから。
社会のための
道具だから。
NO.27694
広告主 | コマツ |
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業種 | 精密機器・産業資材・住宅・不動産 |
媒体 | その他 |
コピーライター | 後藤彰久 |
掲載年度 | 2009年 |
掲載ページ | 180 |
後藤彰久ごとう あきひさ
1992年入会