サントリーウイスキー/
談志のウイスキー 180秒 NA(ダンカン):
えー、ダンカンです。
立川談志の話をします。
俺は最初、談志師匠の門を叩いたんです。
1982年、23の時でした。

M:
♪〜

NA(ダンカン):
まあ面倒なことが嫌いで、
サボってばかり。
でも師匠の声は神の声だから、
なんでもこなさなきゃいけない。
あるとき『庭を綺麗にしろ。
無駄な木を片付けろ』と言われたので、
片付けたんだよね。
庭の木を全部ひっこ抜いて。
するとさ、師匠が怒るわけ、
「このバカヤロ、元にもどせ」
って言うんだけど、
木はもうないもん。
でも師匠の命令は絶対。
だから田舎の方に出かけてってさ、
木をいくつかもらってきて
庭に植えたらさ、
師匠それ見て「お前でかした」
気に入ったみたい。
弟子は古典落語を
覚えなきゃいけないんだけど、
若い人には
なんかつまんないでしょ?
だから俺は主人公をリーゼントにしたり、
革ジャンなんかにちょっと変えたんだ。
そん時は師匠も怒ったねー。
「ふざけんのもいい加減にしろってんだ」
ってものすごく怒っちゃった。
こわかった。
俺はそんなひどい弟子だったんだけどさ、
ある時からどうしようもなく、
今いる軍団に入りたくなって、
師匠に相談した。
「いかせてください」って。
そうしたら師匠が、
いきなりウイスキーの瓶を
戸棚から取り出してくるわけ。
俺、そのときその瓶で殴られる!と思った。
でも、師匠はその瓶の裏に
自分の名刺を貼り付けて俺に渡すんだよ。
「これもってあいつの元へ行け。
これ見たらヤツも断れないだろうから」って。
一年ほどしかいない俺にだよ。
師匠のやさしさが、
ウイスキーのようにしみたね。

SE:
カラン トクトクトク

NA:
こうして「立川談かん」は
「ダンカン」への一歩を踏み出した、って話です。

SE:
落語 「富久」立川談志

NA:
今日もウイスキーは、
人のココロのそばにいます。
サントリーウイスキー
お酒は二十歳を過ぎてから。

NO.86177

広告主 サントリー
受賞 ファイナリスト
業種 酒類・タバコ
媒体 ラジオCM
コピーライター 岩田純平
掲載年度 2013年
掲載ページ 151