《書籍紹介》100万回シェアされるコピー/橋口幸生 著
100万回シェアされるコピー いますぐ使えるウェブコピー 「4つのルール」 橋口 幸生 著 定価:1,500円(税別) 出版社: 誠文堂新光社 発売日: 2017/4/5 |
「100万回シェアされるコピー」を読む前に読んでいたのは「火花」でした。そのため、「100万回シェアされるコピー」の表紙をめくるときには、「橋口くん、きみの本は芥川賞受賞作と比べられることになるけど、その覚悟はあるのかね?」といっただいぶ意地悪な思いが、ぼくのなかにありました。ところが、橋口くんの文章にはまったく気負いがありません。「火花」は文学、「100万回シェアされるコピー」は実用書だからと完全に割り切っているようで、余計な風景描写や心理描写もなく、非常に読みやすい。読むスピードで理解が進んでいきます。
橋口くんは、シェアされるコピーは、本音、驚き、共感、反感の4つに分類できるとし、そのひとつひとつを、実例をふんだんに用いながら分かりやすく解説しています。最近では、コピーの書き方を紹介する本がたくさん出ていて、その本ごとに、コピーに対してさまざまな分類がなされていると思いますが、「反感」で分類しているのが、この本のらしいところではないでしょうか。普通、コピーライターは、「反感」を買うようなコピーを書こうとはしません。書こうとしないというか、はじめは書いていたけど、クライアントから「自慢したいけど、威張っているようには見られたくない」とか、「断定する表現は避けてほしい。あとで責任とれないので」とか、「上から目線はやめたい。以前似たような表現で株主様からおしかりの電話をいただいたことがあるので」とか言われるうちに、徐々に徐々に矯正されていくものです。
しかし、シェアされることを目的とするなら、あえて「反感」を買うコピーがあってもいいと橋口くんは書いています。ぼくも、TCCの審査員のどなたかが、あるコピーについて、「バズってたから投票しました」と言ったのを聞いたことがあります。SNSの浸透とともに、シェアされたかどうかが、いいコピーの新しい基準になろうとしているのかもしれません。ただ、「反感」を買うコピーは、シェアされる可能性を持ち合わせている反面、炎上に転じる危険性も持っています。橋口くんは、そのことも分かったうえで炎上しないための予防策についてもくわしく書いてくれています。
「火花」のなかで、主人公徳永と先輩神谷は、実にさまざまなことについて話しあうのですが、肝心のシェアされるコピーについてはいっさい触れていません。それは又吉氏にそれについての知識がないためだと思われますが、そんな又吉氏の穴を、橋口くんは見事に埋めてくれています。
(上田浩和)
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著者より
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ウェブでもっとも効果的な表現手法は、まちがいなく「コピー」だと思います。理由は、ウェブが「言葉のメディア」だからです。動画やSPサイトはもちろん、テレビCMや新聞広告だって、コピーの力でバズらせることが可能です。しかしウェブは歴史が浅く、どのようなコピーがヒットするのか、まだ誰もが手探りしている状態だと思います。本書ではこれまでの事例を分析し、ウェブでシェアされるコピーを「4つのルール」に分けて整理しました。「バズらせたい」というオリエンに悩むコピーライターはもちろん、言葉のメディア=ウェブに興味のある全ての人に読んでいただければ幸いです。
(橋口幸生)
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