《書籍紹介》コピーライターじゃなくても知っておきたい 心をつかむ超言葉術/阿部広太郎 著
『コピーライターじゃなくても知っておきたい
心をつかむ超言葉術』
阿部 広太郎 著
出版社:ダイヤモンド社
発行日:2020年3月5日
定価:1,650円(税込)
この本には、
この本にしかない
スペシャルな特典が一つある。
なんと、本一冊につき、もれなく
著者の阿部さん本人がセットでついてくるのだ。
そう。これは「阿部さんをあなたの隣に召喚する本」である。
夢中で活字を追っている時。
ふむふむとうなずいている時。
感銘を受けた言葉をメモしている時。
いる。間違いなくいる。
自分のすぐ隣に阿部さんがいる。
きゃー! ・・・いや、そういう意味ではない。
自己啓発やビジネスに関する実用書は世にたくさんある。
その多くに共通するのが、
“著者と読み手のあいだにある絶望的な距離”だ。
はるか遠い場所からこちらに向かって
メッセージが送られてくるような感覚と言えばわかるだろうか。
述べられている内容は参考になるが、
再現性が低く「この著者だからできる別世界の話」なんて
受け止めてしまうことも往々にしてある。
でも、阿部さんの本はそうではない。
とにかく距離が近い。
読み手と同じ高さにまで目線を落とし、歩み寄る姿勢を感じる。
それは、「はじめに」の一節を読むだけでも充分に伝わってくる。
「照れなくていい。恥ずかしがらなくていい。
最初からうまく書ける人なんていない。
まずは何かを書くことではじまるんです」
「創作する仕事に興味はあるし、
本当はそういう感動をつくる仕事をしてみたいけど、
それは特別な人がするもので、自分には
無縁の世界だと思い込んでいたかつての僕みたいなあなたへ。
断言する。心をつかむ言葉はつくることができる」
スタート地点に立ったばかりの人にもそっと手を差し伸べるように。
熱さを秘めた穏やかな口調で阿部さんは語りかけてくる。
タイトルに「コピーライターじゃなくても」と入っているのは、
まさにそういうことで、誰に対しても扉は開かれている。
読みやすくスッと入ってくる文体。
誰もが理解できることを大切にした丁寧な言葉選び。
対面ではなく横並びで同じ景色を共有しているような文章。
もはや読んでいるのではなく、
直接話を聞いているような気さえしてくる。
それらの根底にあるのは「やさしさ」だ。
前著「待っていても、はじまらない。」でもそうだったが、
阿部さんの人柄が文章に滲み出ている。
実際、阿部さんは懐が深く物腰が柔らかい。
僕と阿部さんは、東京コピーライターズクラブの新人賞を
同じ年に受賞した同期という間柄で、その人となりも知っている。
「ああ、文章にはやっぱり人が宿るんだ」
ページをめくりながらそう思わずにはいられなかった。
本書はすでに何度か重版がかかっている。
それはつまり、阿部さんがますます増殖しているということだ。
今日も世界のどこかで誰かが阿部さんを召喚している。
さて、肝心の本の内容について。
本書では、SNSやブログなど公共空間に向かって
誰もが発信できるこの時代において
「伝える」を「伝わる」により近づけるための言葉の手法や考え方が、
阿部さん自身の過去の事例とともに紹介されている。
思わずメモりたくなるような、読んだ後すぐに
行動したくなるようなフレーズにたくさん出会える。
それだけではない。
「超言葉術」というタイトルが付いているが、
その内容は「言葉を通して広がっていく豊かな生き方」といってもいい。
例えば、第4章でこんなふうに語られている箇所がある。
「自己肯定感とはつまり、感動の蓄積なのではないか」
「自分の感情に自覚的になる習慣をつくることは、生きる姿勢すら変えていく」
普段から自分の心の動きを意識し、
その瞬間の感動を言語化する習慣が、生きていく力を育む。
つまり、言葉の技術を磨くことは、生き方を磨くこと。
阿部さんがそう言っているように僕は感じた。
やさしくて、近くて、ちょっぴり暑苦しい一冊。
実際に本書を手にとって、
あなたのもとに阿部さんを召喚してみてほしい。
読み終えて本を閉じた時、
阿部さんに励まされ、勇気づけられている自分に気づくはずだ。
(TCC会員 多胡伸一朗)
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