《書籍紹介》 会って、話すこと。/田中泰延 著
『会って、話すこと。』
田中泰延 著
定価:1650円(本体1500円+税10%)
発行年月:2021年09月
電通関西支社時代の後輩の田中泰延(ひろのぶ)君が、
「読みたいことを、書けばいい。」に続く2冊目の本を出しました。
「会って、話すこと。」です。
前作はベストセラーとなり、あちこちで紹介され、いまだに売れ続けている名著になったわけですが、
今回のタイトルを見て、「え?」と思いました。
文章を書くことに悩んでいる人は多いでしょうが、
日常会話についてそんなに語ることなどあるのでしょうか。
キスしてほしい、オーイエー
↑
こういう無駄な書き方を著者が好むようなので、真似してみました。(だいぶ違う)
そもそも僕は人と会話が弾まないタイプですし、
おしゃべり好きな人、何も聞いてないのに次々に自分の近況を話してくれる人もいますが、
僕は自主的にしゃべることが苦手です。
でもだからもっと自分のことを話したい、とも思わないんです。
なので、このまま一生を終えてもいいんじゃないかなと思っていたら、
「会話によって我々はどのように幸せになれるのか、そんな話を始めたい。」
というテーマが冒頭に掲げられていました。
会話で?幸せに?
いやいや、会話はどちらかというと僕の悩みの種なんですよ。
するとその続きに、
「会話とは相手をよく知り、自分をよく知ってもらうためにするもの。
その考えこそが、あなたを苦しめる原因なのである。」
えー。
「そうでなくて、『********を話す』これこそが会話をする理由である。」
なるほど。
そして急にこの本は僕の身近な存在になりました。
****の部分はあえて伏せ字にしますので、お金を出して買って読んでください。
いま立ち読みしようと思ったでしょう。ダメですよ。
ヒントを言うと、よほど大事なことが書かれているかと思うと、どうでもいいことが書かれています。
それがいいとこなんですね。
さて、読み終わった時にどうなっていたかというと、
僕は誰かと話してみたくなりました。
会話におけるその方向性を試してみたくなったのです。
そういえばこの人とこんな方向に話が進んだことはなかったな、と感じてみたい。
相手が友人であれ、仕事仲間であれ、配偶者であれ、子どもであれ、
バーで隣に座った見知らぬ他人であれ、
それが今日何も話さなかった時より良い時間になっていることを確認したい。
読んでると脱線が多くて何が言いたいのか途中でわからなくなりますが、
たぶんそれも田中君の作戦なのでしょう。
何事もまっすぐ進むのがいいとは限りません。
論旨が脱線することも、また会話が脱線することも案外豊かな人生への近道かもしれませんから。
嘘です。そんな高度なことは考えてないと思います。たぶんページ数稼ぎです。
ただ、これだけは言えます。
ほとんどの人は日頃の誰かとの「会話」について1分間も考えたことはないでしょう。
まして、それに価値を与える方法についてはさらに考えたことはないでしょう。
ついに考えてくれたのがこの人です。
自分以外に他者がいるということには、そういう意義があるんですね。
ということを思いました。
皆さんもどうぞ考えてみてくださいね。
(TCC会員 中治信博)
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