2021年度TCC賞授賞式
2021年12月16日、ウェスティンホテル東京 スタールームにて「2021年度TCC賞授賞式」が開催されました。今回は、新型コロナウイルスの感染拡大の状況を鑑み、会場には受賞された方のみお集まりいただきました。会員および関係者のみなさまには、オンライン中継を通して、授賞式の模様をお届けしました。
司会の原晋さん、渡邊千佳さん
18:00に開会、配信がスタートしました。
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◎谷山雅計会長より開会のご挨拶
まずは、今日この場にお集まりいただきました受賞者の皆さま、本当におめでとうございます。去年の授賞式は完全にリモートで行い、受賞者の皆さまにトロフィーを手渡すこともできず、ちょっとバーチャルなものになりました。それに比べますと、今日の2021年度TCC賞授賞式は、人数を絞ってではありますが、皆さまとこの素敵な会場で会うことができたのは、一歩前進だと思っております。
ただ、実を言いますと、昨今の状況を見ていますと、もっとお客さんをよぶことも本当は可能だったのではないかという気持ちも少しあります。
ひょっとしたら、来年になり「今考えると、あの2021年12月が、みんなが集まれたよい機会だったかもしれないね」と後悔する可能性もあると思います。もちろん、それは誰にも分からないことですし、先が読めないことだと思います。
ただ、そういう分からない時代においても、やっぱり言葉というものは、絶対に、強いコミュニケーション手段として、昔と同じ強さで、我々を結びつけてくれているものだと思います。
そのことは、これからご紹介するTCC賞の受賞作、さらには、年鑑掲載作の数々の、多くのいい仕事が証明してくれると思います。
私たち、コピーライターには、会えない時代においても、その距離を縮めてくれる、言葉という素晴らしい武器があります。
今日はそのことを、みなさんに実感していただける、よい時間になればいいなと思っています。ぜひ、最後までお楽しみください。本当にありがとうございます。
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◎児島令子審査委員長より、審査講評
今年のTCC賞は、昨年の3月から今年の3月までの広告が対象でした。
応募作はすべてコロナ禍のものでした。
作品が集まるのかということを、すごく心配したのですが、蓋を開けてみると、一般部門4,710作品、新人部門339名と、極端な減少なく集まりました。
旅行や運輸、流通店舗など、広告をなかなか打ちにくかった業界がたくさんあった中でも、私たち制作者は、今なにをやることが、本当の意味で広告になるのだろうと、みんなリモートワークをしながら、自問自答して、広告づくりを諦めなかったからこそ、これだけの点数が集まったのだと思います。また、ピンチだからこそ生まれてきた表現をたくさん見ることができました。
応募傾向としては、新人、一般ともにコロナに関係するものがとても多かった印象があります。ですが、新人賞ではコロナ関係の受賞作は2作品でした。東海テレビとカロリーメイトの部活、どちらも素晴らしかったです。
そもそも「コロナ関係」や「コロナもの」という言い方にも違和感があって、一見、コロナと無関係な楽しい広告に見えても、それを作っている人はコロナの影響を受けているし、お茶の間で見ている人もコロナ禍を生きている人ですから、応募された作品は全部「コロナもの」だったのではないのかなと考えます。
そんなコロナの影響の中での新人賞ですが、とても新人らしく、自分の爪痕をしっかり残そうという執念のようなものが表れている作品がたくさん登場したことは、審査委員長として嬉しく、新人のたくましさのようなものを感じました。
本当にたくさんのバリエーションがあったのですが、たとえば、日清食品(旅するエスニック)、(オカモト)コンドーム、(サントリー)デカビタCとか、本当に楽しい物もたくさんありました。
最高新人賞ですが、今年は本当に僅差で、上位3作品で決選投票をしました。
リモート審査ではありましたが、最終審査はZoomで集まって意見交換をした上で、最終的な投票を行いました。私も長年、審査委員をしていますが、一等賞を決めるときのTCCというのは、審査委員それぞれに、自分の思う最高新人賞像というのがあって、そこを求めるものなのです。登場感であったり、斬新さであったり、やられた感とか、ただ上手なだけではイヤだという気持ちがあって、その結果、小堀さんの「服の概念がない」の、ぶっとび方が最後にひとつ抜きん出ました。
一方、TCC賞では半分以上がコロナ関係でした。
新人賞との違いがはっきり出ていて、なかなか興味深かったです。
広告業界にとって、この一年間というのは、みんな同時に「コロナ」というお題をもらって、一斉に取り組んで、その答え方の違いを競うというような一年だったと思います。
お題が同じなので、審査をする上では、その差が明らかでした。
ただコロナにのっかっただけのものとか、ワイドショーでも言っているよねということを、なぞって広告枠でやっているものは、審査委員もスルーしていて、捉え方の独自性や視点の深さ、文脈に光るものがある、そういうものが最後に残りました。
結局は、コロナだから云々ではなく、よい広告というのは、そこですよね。
私たちは、テーマがコロナでもそうでなくても、クリエイトしていく作業というのは変わらなかったんだなと思います。
新人と一般の差ですが、新人部門では自分の爪痕を残したいという作品が目立った一方、一般部門はいろいろなクライアントの事情も考えて、コロナ禍で自分の担当している商品のよさをどうやったら人々に伝えられるかということを考えた作品がたくさんあったので、この結果になったのではないでしょうか。
その頂点がカロリーメイトです。
アテントとものすごく僅差だったので、こちらも決選投票になりました。
これも、審査委員それぞれの思い描くグランプリ像がやはりありまして、みんなで意見交換などもして、どちらの作品もグランプリに推す意見がたくさんありましたが、最後の最後で、カロリーメイトがひとつ頭が抜きん出ました。みんなが納得という感じでした。
CMの中で、「うまくいかない時に、それでも続ける努力を底力っていうんだよ。」と言いますよね。その捉え方が、このしんどい時代に、受験生でなくても、みんなに刺さったということだと思います。今年の一等賞に相応しい作品ではないでしょうか。
私たちは100年ぶりのパンデミックで、なかなか経験できないことを、クリエイターとして経験しましたが、100年前のスペイン風邪のとき、大正時代でしたが、どんな広告だったのかなと調べてみましたが、こんなのがありました。
マスクをかけぬ命知らず!
予防注射を転ばぬ先に
今だと新人賞は無理かなと思うんですけど、ほかにも素晴らしい広告があったのかもしれませんが、当時は、コピー年鑑がなかったので残っていません。
でも、私たちにはコピー年鑑があります。
最後になりますが、コピーライターが選んだ、コロナ1年目の日本の広告たち。
今日、皆さんの受賞作を紹介しますが、100年後の人が見たらどう思うのかな、あのときのコロナってこうだったんだ、ぜんぜん関係ない楽しいものがあるな、コロナのことをこんな風に捉えたんだという風に、どう思うのかなと考えながら、本年の受賞式をご覧になってもいいんじゃないでしょうか。
受賞者のみなさん、おめでとうございました。
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◎各賞表彰
まずは新人賞から。今年度の新人賞は339名の中から18名が受賞されました。
受賞者のみなさんは、レッドカーペットを歩いて壇上へ。
関口いちろさん、佐藤一貴さん、田中大地さん(写真左から/以下同)
加藤千尋さん、福島康之さん、中辻裕己さん
戸澤麻里子さん、安達岳さん、市川直人さん
礒部建多さん、山本絵理香さん、吉田翔彦さん
角田奈菜さん、荻原海里さん、山本修さん
山中康司さん、松吉亨さん、岩田泰河さん
プレゼンターの副会長の箭内道彦さん、福里真一さんから受賞者のみなさんにトロフィーと副賞が手渡されました。
最高新人賞の小堀友樹さんには、谷山会長からトロフィーが贈られました。
◎小堀友樹さん、受賞のご挨拶
本当に自分でいいのかなと、なかなか納得できないところがあったのですが、受賞の報告を大学の頃の先生に20年ぶりぐらいに連絡しましたら、「おめでとう」ということと、「周りの人にちゃんと感謝しないといけないよ」という一言をいただきました。
僕自身が最高新人賞にふさわしいかというと怪しいのですが、僕がいる場所にいる皆様方を、評価していただけたのかなと納得するところがありまして、今日はふだんお世話になっている方々に感謝の言葉を言えたらなと思います。
まず、受賞作のラジオはモデルになった下谷くんという人がいまして、声優も下谷くんが演じてくれているのですが、ほぼあのままの人で、たとえば、「イエスタデイって今日やんな」というメールを送ってきたりとか、先日は「1キロメートルって1000キロメートルやんな」って、メールを送ってきたり。まあ、そういう人なんですけれども、すごく優しい人で、ふだんは介護士をしていて、収録のときも施設にウイルスを持ち込む訳にいかないからと、電車ではなくわざわざ車で来るようなプロとしての格好良さと、優しさを持っている人です。そんな素晴らしい人をひどい扱いをしてしまって申し訳ないのですが、これからも友だちでいてくれたらなと思っています。
続いて、このラジオは電通関西社の研修の一環で作ったもので、制作過程でも関西支社の皆さんに相談して作ったものになります。特に古川さんには、いろいろご尽力いただいたのに、受賞できる気がしなかったので、審査料もったいないし出すのをやめようかなと思っていたところ、出しときやとお尻を叩いていただいたので、このような場所に立たせていただくことができました。本当にありがとうございます。関西支社は、ガラは悪いけれども根っこが上品なところがすごく好きなので、これからもよろしくお願いします。
いま、(配信を)見ていてくれていると思うのですが、父と母にも感謝を伝えたいと思います。最近、自分も子育てをするようになって、息子が自分の口癖を真似してくれるとすごく嬉しいなと思うんですけれど、自分が言葉にまつわる賞をいただけたのは、父母から譲りうけているものがあるんじゃないかなと思っています。
あとは、僕がいま授賞式に出られているのも、家庭のことをがんばってくれている妻のおかげです。
あいつにあげなければよかったと言われないように頑張りたいと思いますので、これからもよろしくお願いいたします。
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次は一般部門の表彰です。
まず最初に、TCC審査委員長賞。
2021年度は、島津裕介さん、赤城廣治さん、大石タケシさんの3名が選出されました。
審査委員長の児島令子さんからお三方にトロフィーと副賞が手渡されました。
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続いて、TCC賞の表彰。
TCC賞は14の仕事、19名の方が受賞されました。
プレゼンターは副委員長の山崎隆明さんでした。
みなさんおめでとうございました。
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2021年度の栄えあるTCCグランプリに輝いたのは、福部明浩さん。
大塚製薬カロリーメイトのポスターとテレビCMで受賞されました。
ご来賓として、TCCグランプリ受賞作品の広告主である大塚製薬株式会社 代表取締役社長の井上眞様にご列席いただきました。
谷山雅計会長からトロフィーが手渡されました。
◎井上眞様からご祝辞
私どもまでトロフィーをいただき、ありがとうございました。
弊社関連の新人賞、TCC賞、いくつかいただき、本当に嬉しく思っております。
また、本当におめでとうございます。
福部さんにカロリーメイトの広告に携わっていただいて10年になります。
私個人的には、黒板アートを使った「見せてやれ、底力。」のCMから、7年のお付き合いになります。今では、CMが流れると、ああ、受験のシーズンだなと消費者に認識いただけるようになりました。
今回のCMは、特別な年ならではのものにしたいということでしたが、例年通り、CMを作る前に教師と生徒の方々にインタビューをされています。その中のお一人の教員の方が「生徒とは戦友だ」と。この一年、教師と生徒は、コロナ禍において共に戦ってきた、お互いに支え合ってきたのではないかということを、現場の感覚として捉え、企画されたCMです。「コロナ禍」という環境と「教師と生徒の関係性の変化」という2つの時代性を見事に表現していただいたのではないかと思います。
この7年間のお付き合いで、楽曲の選択等、いつもわがままをきいていただいています。そして、こちらの期待を上回る作品に仕上げていただいて、本当に感謝しております。
ただ、それが福部さんご自身のハードルを上げることになり、毎年、苦しんでいただいて大変申し訳なく思っております。といっても、思っているだけなのですが。
受験という、誰しも経験される、人生で後戻りできない、そういう時間を重ね合わせて、表現してきていただいたわけですが、福部さんご自身が7年間ずっと受験生をやっているようなもので、受験生のままで入学もしていませんし、卒業もできないと思いますので、これからも末永くよろしくお願い申し上げます。偏差値は毎年上がっていますので、大変だなと思っています。
祝辞になっているのかわかりませんが、あらためまして、福部さんの受賞を心よりお喜び申しあげます。そして、ありがとうございました。
◎TCCグランプリ受賞者 福部明浩さんから
井上さん、温かい祝辞をありがとうございます。
井上さんは本当に忙しい方で、カロリーメイトとポカリスエットに関しては、いつも直接プレゼンにでてくれるのですが、その時間を決めるのにも、空いているのは数週間後の午前中のここだけです、というような方なので、本当に今日は来ていただいて嬉しいです。ありがとうございます。
大塚製薬さんの仕事は、2012年の満島(ひかり)さんの「ファイト」という歌のCMからで、今年でまる10年目になります。いつも榎本(卓朗氏)と二人で企画しています。本当に二人きりで、デザイン事務所の一室を借りてやっているんですけれど、デザイナーたちが「精神と時の部屋」と呼んで、近寄りたがらないんです。
大塚製薬さんは正直、一番好きなクライアントで、一番楽しく仕事をさせてもらえるんですけれど、同時に一番怖いクライアントでもあって。僕もいろいろな方にプレゼンをしていますが、井上さんにプレゼンするのが一番恐ろしいです。何が恐ろしいかというと、ああしろ、こうしろと厳しく言ってくれないんです。「うちの広告は時代性が欠かせないんです」ということしか言ってくれなくて。いったい何から考えればいいのかというところから考えなければいけなくて、この苦しさは本当に辛いんです。
これから、大塚製薬さんの仕事をやりたいという方に言いたいのは、本当に真っ白な紙に「この製品の、この時代における価値を述べよ」という一行しか書いていないんです。それをずーっと、7年間やらせてもらっています。時代性とは何かということを常に問われているので、先ほど、児島審査委員長がコロナという同じお題を与えられて、よーいどんで考え始めたというお話がありましたが、僕らとしては、ずっと毎年、この時代は何なんだということを、この製品を通して考えるという訓練をされていて、そういう意味で今年、ちょっとアドバンテージがあったなと思います。
今回のグランプリ受賞作については、時代性という意味では、意外にすっと捉えられたというか、2020年ほど世界中の人が同じような時代感を共有した年がなかったと思うので、そのこと自体はすんなりいったのですが、それをどこまで、一広告、一企業の一商品として描いていいのかということをすごく悩みました。
見ていただいたCMは2案プレゼンしたうちのB案で、僕はどちらかというと、もうひとつの、コロナというものをもう少しだけ抽象化して描いたA案を推していたのですが、井上さんが「B案やな」とおっしゃって。
その当時は、コロナまっただ中で、ワクチンもまだなくて、どのくらいコロナを正面から描いていいのかということがすごく不安だったので、そのさじ加減や距離感や温度感だけは間違わないようにしたいと思い、グルイン(グループインタビュー)をすごくしました。最近僕らはもうグルインをしなければ案が考えはじめられないというぐらい、それがスタート地点になっています。なぜかというと、SNSのせいもあるのですが、自分が見えている時代というのは、すごく視野角が狭いのではないかと思って、実際に聞いてみないとわからないと考えています。ですから、この受験応援シリーズだけでなく、カロリーメイトの広告を考えるときにすごくグルインを大事にしています。モデレーターも自分で努めていて、広告の中のいろいろなエピソードは全部、実際に先生や生徒から聞いた話でした。ただ、大事にしたのは、リアルを並べるだけなら、ニュースやドキュメンタリーと変わらないので、そこに一つ、CMを見て、前に一歩を踏み出したくなるような何かを付け加えたいなと思いました。
僕は、大塚製薬さんの仕事以外でも、物語性を大事にしているのですが、昨今、CMというのは流す前に調査をしっかり行っていて、CMの中で「美味しかった」「新しくなった」と直接的なメッセージがあると、調査結果は出やすいのですが、そういった中でも、僕は物語性が大事なんじゃないかと思っています。ただ、やはりデータのほうが強いので、そのことをどのように伝えたらいいのかと思っていたところ、たまたま、数ヶ月前にYouTubeで心理学者・河合隼雄さんの[現代人と心の問題]という講演音声を聞いたのですが、その中で「人間は物語がないと腹におさまらない」とおっしゃっていたんです。その「おさまらない」という言葉に、ああ、そうかと。
交通事故で恋人を亡くした方に、どうして私の彼は目の前からいなくなってしまったのかということを、自然科学的に「彼は亡くなったんですよ」と説明することは簡単だけど、患者さんはそれでは納得しないんです。そこで、物語の力が必要なんだと。その事実を消化して、自分の新たな人生の物語につなげられないんだという話をされていました。河合さんは、自分の仕事は、物語ることだとおっしゃっていて。新たな自分の物語を歩み出すときに、いろいろなヒントとなる物語をたくさん知っている。だから、その方たちの救いになることができるのだという話をされていて。それだ、と思って。
このCMで言うと、どうして自分の代だけ、あんなにがんばってきたのに部活の最後の大会がないんだとか、楽しみにしていた文化祭や運動会がないんだ、でも受験だけは必ずやってくるというのは、どういうことなんだ、という、やるせなさや他に持っていきようのない怒りに対して、感染者数がこれだけですよとか、重症の病床率がこれだけだからですよと言われても、やっぱり腹におさまらなくて。そういうときに、今回のメインコピーである「見えないものと闘った1年は、見えないものに支えられた1年だと思う。」という一行の物語が、時代性に合ったのかなと思っています。
長いコピーですが、Twitterなどでそのまま引用してくれて、確かに今年はそういう一年だったね、自分にはこういうことがあったんだと、自分の物語を語ってくれている方が結構いて、河合さんが言っているのは、このことなんだなと思いました。だからやっぱり、物語というのは大事なんだと思いました。
(このCMは)ACCでもグランプリをいただいて、あのときA案、B案のうち、B案を選んでいただいた大塚製薬のみなさまの期待には応えられたかなと思う反面、次のハードルがすごく上がりました。だいたい、夏のセミが鳴く頃から「精神と時の部屋」にずっとこもってずっとやっているので、本当に苦しいのですが、先生役の飯塚悟志さんが「うまくいかないときに、それでも続ける努力を、底力っていうんだよ」と言ってくれている、あの言葉で、まさか自分が励まされるとは思っていませんでしたが、コピーというのは、どこかしら自分が言って欲しいことを書いているところもあります。
カロリーメイトの営業チームはいつでも制作費について何も言わないので、本当に感謝しています。もう一つ、キャベツデザインのみんなにも、ありがとうと言いたいです。さきほどの「精神と時の部屋」を貸してくれているデザイン事務所なのですが、そこでデザインからCMまで一緒にワンチームで頑張っています。本当にありがとうございました。
◎最後に、コピー年鑑のご紹介
最後に、コピー年鑑2021について、編集委員長の太田恵美さん、アートディレクターの浜辺明弘さんからご紹介がありました。
「コピー年鑑は、昨年の照井晶博編集委員長のときに大事な編集方針が決まりました。コピー年鑑と謳うのであれば、コピーの掲載点数はなるべくたくさんあったほうがいい。たくさんあるけれど、ボディコピーまでちゃんと読めるようにしようということ。それから、それぞれの受賞作に対しては、コメントや講評を必ず寄り添わせるようにしたい。もし企画ページを設けるなら、内輪でうけるものではなく、ちゃんと外に向けたものを企画する、ということでした。その話を浜辺さんにお伝えすると、すぐに持ってきてくださったのが、このデザインです。そのときに、コピーって発明ですよね、と言ってくれました。もう一つは、すぐに取り出して、しょっちゅう見てほしい、なるべく本棚からすぐ取り出せるようにしたいと話してくださいました。掲載数はこれまでの平均をはるかに上回る685点。ダントツに多かった昨年に次ぐ、二番目に多い年鑑です。ファイナリスト以上には、審査員92名のコメントが必ず添えられています。去年、ものすごく皆さん苦労してコメントを書かなければいけなかったので、今年は異議も出たのですが、何とかコメントを添えましょうということで、頑張って書いてもらいました。[特別企画/2021年の覚書]では、TCC会員のコピーライターと有識者の方々が2021年に[出会ったことば。拾ったことば。刺さったことば。]を集めました。つまり、今年の年鑑も相当読み応えがあります。一年かけて、あちこち拾い読みするようなことになると思います。そのために、本棚からすぐに出せるような年鑑にしています。どうか一年間楽しんでください」と太田編集委員長。
今年は、飲食を伴う「年鑑発刊パーティー」は行われなかったため、受賞者全員の記念撮影を行ってお開きとなりました。