リレーコラムについて

ラナパー(Renapur)に学ぶ

小山田彰男

ラナパーという商品をご存知だろうか?

革製品全般に使える、革が蘇るというトリートメントだ。これを薦める人もネットでの評判もそして商品パッケージにも、とにかく、スポンジにとって。薄く塗るんだよとやかましい。厚く塗ったらもう台無しだと言わんばかり、何が何でも薄ーくだ。

そこまで言うのなら、この世で一番上手にやってやろうと、よーしこれでいいんだろ?と言うくらいに薄く塗ると、どうにも蘇えりの手応えがない。
しょうがないから、ついラナパーの上塗りをしてしまう。つまり、一旦手をつけるとやめるタイミングがわからないと言う困った商品だ。どっかで馴染んでいるはずなのだけれど、はい、これでよしという「上がり」のタイミングが分からない。しかも、一回買うとずっと無くならないし。

TCCの会員というのも、周りでやめていく人がポツポツいる中で、私は会員で居続けている。TCCとの関係は濃い訳ではなく、ラナパー状態の薄ーい会員だ。だけど、きっと私は今後もやめない。

入社直後のメンターで、社会に出て最初に接した大人である川野康之さんや新人賞の時にコメントをいただいた佐倉康彦さんやその時 CDで部長でもあった杉山恒太郎さんの名があるうちに辞めることはできない。この偉人たちと一緒に名を連ねることのできる唯一の機会とご縁を失うのに抵抗があるというのが一番大きい理由だ。

そして、、出向してみて、役職や部署が変わった時に、案外みんなチェックしているということにも気づいた。

TCC会員だからといって、部員が勤務入力を日々怠らないとか、出社率がよくなるとかそういう効果はないが、なんらかイメージ作りの役には立っている。
それに、BP(営業)やメディアの部署の人やクライアントさんもチェックしているのも分かった。むしろ熱心だったりする。
こうやってリレーコラムが回ってくるという薄い関係でも、やはりその担当週くらいは、自分はTCCの会員なのだと意識が蘇るから不思議なものだ。手応えはないが、効能は確実にある。

今回、リレーコラムを食い気味に引き受けたの理由は、中川氏からのバトンだということ以外に、今が絶妙なタイミングだからというのもある。
とにかく今週は薄ーく繋いで、次のバトンは、新人賞を今年受賞した電通九州の山田大輝さんに回そうと最初から思っていた。
おめでとう。
なにせ授賞式の寸前の週だもの。結構目立つね。じゃ、あとは任せた。

僕は、家に帰って革のカバンにもう一回だけラナパーを塗るよ。

 

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