「あなたにはあなたのペースがあるから」
こんにちは。好きなコピーは「Follow your heart」の、日比野鮎子です。
最終日の今日は、先輩の名言を紹介します。
このコラムを読んでいる人の中には、TCC新人賞を目指している人もいるのでしょうか?
私が新人賞を目指していたのは20代の頃なので、もうずいぶん前のことです。
そのころの新人賞は、受賞するのが「とても難しい」と、私は感じていました。
何年も通らず落ちていたので。
今も、難しいんでしょうか?
私がいた会社はリクルートで、広告代理店ではないため、社内に「コピーライター」という職種はありませんでした。一方で、たくさんの営業がいて、全国津々浦々の中小企業をクライアントに抱えている会社でもあり、制作担当である私も、時には10社、20社と担当クライアントがありました。「コピーを提案するチャンスが多かった」とも言えるかもしれません。
当時はTCC新人賞を目指している人が社内にも複数、いました。冬になるとカンパネ(知ってますか?)を買って自分の広告をカッターで切って貼る、みたいな作業をそれぞれにやっていた気がします(当時はデータ入稿じゃなかったんです!)。なんとか会館(毎年同じ、なんとか…会館へ提出しに行ってたんですよ!!)へタクシーで向かう道中、「また今年もか…来年は行きたくないなあ」などと考えながら見ていた寒々しい景色をよく覚えています。
会社では、特に求人領域に異動になってからは、周囲が自分よりできる人ばかりに見えて、いつも不安で自信がなかったです。それまで私は「ケイコとマナブ」という、レッスン情報誌の部署にいて、「パソコン教室にOLさんを呼ぼう!」みたいな広告を作っていました。それが求人領域で「事業者金融」とか「グローバルリーダー育成」とか、そういった話について行かねばならず、意味がわからなすぎて打ち合わせ中に号泣してしまったことがありました。
その時のCD(クリエイティブディレクター)に言われた名言が、こちらです。
「あなたにはあなたのペースがあるから」
私よりも先に後輩が新人賞をとったり、それだけでも焦っているのに、そもそも「何の話をしているのかわからない」みたいな状態で、混乱が頂点に達したのかもしれません。CDはとつぜん泣き出した私にドン引きしていましたが(だって、会社のフロアですから、自分が泣かせたみたいに見えますからね…違うのに)「日比野には日比野のペースがあるからさ」と言ってくれました。
実力というのはおそらく、機が熟する時というのがあるのだと思います。その後、私が私のペースで新人賞を受賞するのはそこから2年くらい経った後です。もし今、このコラムを読んでいるあなたが、「なぜ自分はなかなか芽が出ないんだろう」と、自信を失っていたら、あなたにはあなたのペースがあるのだ、ってことを思い出してください。そのペースに従って、今も少しずつ前に進んでいるのだと。
5日間、拙いコラムにお付き合いをありがとうございました。次のバトンは、本日紹介した名言を言ってくれた先輩、戸部二実さんにお渡しします。以前にこの話をしたら「え、そんなこと言ったっけ?」とおっしゃってましたけど。先輩、来週からよろしくお願いします!
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