リレーコラムについて

「犬馬難鬼魅易」を見て思った。

仲畑貴志

「犬馬難鬼魅易」の書は、
骨董の友達であった白洲正子さんの、
鶴川のお宅で見た。

短冊にパキパキと書かれて柱に掛けてあるその書は、
洋画家の松田正平さんの手によるもので、
まったく媚びを見せない小気味よさであり、
書の意味に副ったものであった。

これは中国戦国時代の法家の書物にある言葉。
ケンバムツカシキミヤスシと読む。

表現の要諦について、
「犬や馬のように
日々日常とともに在る平凡なものの表現は難しく、
鬼や化け物のようにトリッキーなものは簡単だ。」
ということなんだな。

これ、広告表現にもあてはまりますね。
インパクトを狙って、珍奇なものを創り上げるのは、
確かに、そう難しくはない。
その点、ヒトの日々の営みを見定めてこさえる、
しみじみと心に染み入る表現は、なかなか難しい。

もう56年ほど広告をこさえつづけているが、
果たして、わたしの表現は、
犬馬と鬼魅のどのあたりに位置するものだろうか。

駆け出しコピーライターの頃から今日まで、
その折々の広告とコピーを、
下手なのも隠さず並べて考えるシリーズが、
ブレーン2023年の新年号から始まります。

タイトルは、「犬馬難鬼魅易」。

NO
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