リレーコラムについて

今は眼中にないものを、人の視界に入れる。

福永琢磨

ちかごろ、「持続可能性」という言葉がよく耳目に触れますよね。

持続可能性とは、「これからも続けていけるか」ということですから、

そのメッセージは

「今までのやり方では、もう続けることができませんよ」

ということと考えて差し支えないはずです。

 

持続可能性が叫ばれるようになったこのタイミングで、

企業や個人の「パーパス」が注目されるようになったことも、

恐らく偶然ではないでしょう。

 

持続可能性やパーパスに共通するのは

「高い視座」であったり、

「長期視点」であったり、

「マクロ視点」であることです。

 

今の社会がこれほどまでに課題で溢れてしまったのは、

私たちが低い視座、短期視点、ミクロ視点しか

持ち合わせてこなかったからですね。

 

その解決のために、

これからは高い視座、長期視点、マクロ視点を持ちましょう。

それが持続可能性やパーパスの本質だと思います。

 

これって、言い方を変えると、

「今まで見えなかったことを見ましょう」とか、

「今は眼中にないことを、視界に入れましょう」

ということです。

 

それはまさに、広告や広告コピーが

試みてきたことではないでしょうかね。

 

今までは欲しいと思っていなかったもの、

必要と思っていなかったことを、

欲しい、必要だと思わせる。

存在さえ知らなかった考えや価値観を、知らしめ、共感させる。

そんなことを、これまで私たちはやってきました。

 

この共通性はとても面白いと思うんですね。

 

ミクロの世界から視座を上げてマクロの世界を把握し、

人の心に届き、動かす言語化によって、

マクロの価値観をもういちどミクロの距離感に落とし込む。

 

今は眼中にないことを人の視界に入れるということは、

つまりそういうことです。

 

私たちは「日常」という小さな世界に暮らしていますが、

実は時速11万キロという猛スピードで太陽の周りを爆進する

地球という岩石の塊の上に乗っています。それが現実です。

 

ですから、普段は意識することもない大宇宙の法則から、

私たちは逃れることはできません。

 

マクロの世界の法則です。

 

エネルギー保存の法則や、

エントロピー増大の法則、

アインシュタインのE=mc2といった

一見、私たちの日常には無関係なルールを、

私たちは超えることができないのです。

 

当然ですが、地球の限界からも逃れられません。

ミクロはマクロの世界の一部だからです。

もしかすると私たち人類は、

自分たちがやっているゲームのルールをよく知らないまま、

ずっとゲームに参加してきてしまったのかも知れません。

 

そして最近になって、地球の様子がなんだかおかしくなってきたことで

私たちの視界の外にもっと厳格なルールが存在していたことがわかってきて、

その対処に世界中が慌てている。

 

視座を高くしてみると、そんな景色が見えてきます。

 

マクロのルールを人々が自分ごと化できるかどうかは、

その橋渡し役の技量にかかっている。

そういうことを考えていく時代がやってきたわけですね。

 

だからパーパスなんかが問われているわけです。

 

果たして、コピーライターは人類を救うことができるでしょうか。

いやはや、面白い時代になったものです。

 

 

早朝にあれこれ考えていたら、少し長くなりました。

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