今考えるとコピー鍛錬だったと思うこと③ 〜放送作家〜
たまに、放送作家をしている。
PRにいると色々なメディアの方と知り合いになるが、
ひょんなことから情報番組やお笑い番組のディレクターの方と仲良くなったのが、きっかけだ。
出張先で一緒にご飯を食べながら、
次のクールの特番企画について悩んでいるという話になり、
自然な流れで、こんなのどうですか?というTV局の企画会議みたいな話になった。
お酒も飲んでいたのでネタはぜんぜん覚えていないが、
その時話した内容がみょうに新鮮だったらしく、「作家として、企画会議に参加してよ!」と言われ、
次の週から定例の企画会議に呼ばれるようになった。
TVの人って何を考えて企画しているのか?広告と作り方って何が違うのか?
という興味もあったが、シンプルにテレビ局に週一で行くのがミーハー心にうれしかった。
その会議は、事前に考えた企画を持っていくスタイルではなく、
雑談しながら即興でいろいろ企画をテーブルにあげていくスタイルだった。
せっかくだから何かいいアイデアを!と思ったが、なかなか思いつかない。
なぜだろう。後からたぶんそうなんじゃないか?と思ったのは、
クライアントさんがいないということ。
それは、課題がないということ。
つまり、取っかかりがないということ。
無の状態から、自由演技で、面白いものを突き詰めて考える。
これがとにかく、難儀。
今思うと、ここが広告の企画と違うところであり、意外と一番困ったことだった気がする。
そんな中、一緒に企画会議にでていたとある作家はどんどん企画をテーブルにあげる。
「YOUTUBEで、カバの動画見てたら死ぬほど面白かったんで、カバだけで2時間いけませんかね?」
(僕:いやいや、犬猫ならまだしも、カバって。)
「軍人さんが帰還した時にサプライズで娘に会いに行く動画がめちゃくちゃ泣けるんで、なんかできないっすかね?」
(僕:いやいや、感動はするけど・・・狭くない?)
「このアイドルが可愛いいので、その子にひたすら料理作ってもらう番組ってどうっすか?」
(僕:いやいや、さすがに個人的がすぎるだろ!)
そう、みんなめちゃくちゃ個人的なことを取っ掛かりに企画にしているのだ。
個人的に思いついたことに、あとから算段をつけて、
公共の電波に乗れる企画にブラッシュアップしていく。
あまり広告プランナーには求められない能力だと思っていたが、
当時、考える企画が正しいけど面白くないということに悩んでいた自分にとって、
けっこう目から鱗の発想法だった。
自分の恥ずかしい部分を堂々とみせなければいけないということだし、
インプットを続けなければすぐに出涸らしになってしまうという気づきにもなった。
今でもまだ、与件とか戦略とか事情とか考えがちではありますが、
このTVの企画会議という自分の恥部を晒す鍛錬が、
広告企画を考える上での肥やしになっていることは間違いない。
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