リレーコラムについて

変わること、変わらないこと

杉山恒太郎

COVID-19が依然として猛威を振っている。そこで我々の生き方や価値の変化について語られるテクストも多々散見され、つい気になって目を通すと、いわゆるダーウィンの「適者生存」の引用が多いのに気付いたりする。

“生き残れるのは強い者や賢い者ではなく、変化について適応できる者で有る”

と。つまり、変われる者こそが生き残れるのだ、ということだ。

“変わる”ということで言えば、ヴィスコンティ作品の中でも特に大好きな映画(山猫)の中で没落貴族扮するバート・ランカスターに言わせている名台詞がある。
「変わらないために、変わるのだ。」古いスペインの確か諺だったと記憶する。
村娘役のクラウディア・カルディナーレの破顔を目にして彼は陰鬱にこう呟くのだった。
笑顔って確かに人によってはかなり怖い顔になるよね!w
おほほ、じゃなくて、ガァハハ、はね。
これからの時代はあの下品な馬鹿笑いを甘受しなければ自分たちは生き残れないと暗に映画は伝えようとしている。

さらにところ変わって生物学的に福岡伸一的に言えば、我々の身体は37兆個の細胞が日々合成と分解を同時に繰り返す動的な平衡状態を「生きている」ということだそうだから、10年も経てばすっかり細胞も入れ替わって僕は前の僕ではない「別人」の僕になっているという訳なのだ。
COVID-19は変わるべきあなたの働き方を指数関数的に一気に推し進めているかのようだ。
だからもしも“変わる”ってことに恐れたり躊躇しがちな人がいたら、この三大噺から趣旨を汲んでいただき、けして妙な処で頑張らないで変わりゆく自分を思いっきり愉しんでもらいたいものである。

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