リレーコラムについて

靴箱の赤丸

秦久美子

新しいクツを買うと、必ず赤の油性ペンで
底に赤丸をつけるという、変なクセがあります。
クツが地面に触れる、アウトソールの部分です。

それが、あとでメルカリで売れそうな人気のスニーカーであろうが、
靴底が赤くてもはや書いた赤丸が見えないヒールであろうが、
近所へ行く超短距離用のツッカケであろうが、

靴箱の中にある全てのクツの底には見事に、赤丸がついています。

あぁ・・・言ってしまった。
今ここで、初めて公にこの変なクセを告白しました。

これは母親もそうなので、たぶん、遺伝性です。

「こうやってクツをほめてあげると、クツがええとこに連れていってくれるねん。」
母はそう言って、新品のクツをおろす度、嬉しそうに靴底に赤丸をつけていました。

本当にそれが効果を発揮しているのかどうかは不明なのですが、
最近では、赤丸をつけ忘れた新品のクツで出かけてしまうと
街の中で、とってもとっても不安になり(めっちゃ逆効果)
帰ってからクツに「ごめんね」と謝るという、私の中で謎の現象が起きています。

ただ、やっぱり「クツをほめる」という発想がとても素敵だなと思っていて。

「クツをほめる」って、
クツに対して「ポジティブな気持ちをプレゼントする」って、ことだと思うんです。

そりゃクツもたぶん人と同じですから、ほめられると、嬉しいと思うんです。たぶん。

「ああ、ほめてもらったから、この人をいいところに連れて行ってあげよう。」
って実力以上に力を発揮して頑張ってくれると思うんです。たぶん。

 

人と人との関係でもそうですよね。

ポジティブな感情をくれる人とは一緒にいたいけど、
ネガティブな感情をぶつけてくる人とは(私は)一緒には、いたくない。

クツの底に赤丸をつけるというのは、ちょっぴり変なクセですが、
そうやって周りの人やモノにも
ポジティブな気持ちを与えられる人になりたいなと日々思っています。

そして、広告屋さんとしても
やはりその想いを大切にお仕事をしていきたいなと、思っているのです。

 

なんか謎の宣言をして、無理やり「広告」という単語を出して
まとめにかかった感が盛大にバレていますが、ここらで私のリレーコラムを終わらせていただきたいと思います。

この1週間
こんな関西弁のコラムにお付き合いいただき、ありがとうございました。
先輩から、「画面からはたちゃんの声が聞こえる」というお言葉をいただきました。

ということで次は、

視覚への刺激だけで関西人の脳内にメロディーを発生させることができる
ナニワのベートーベン、
ちがった、
ナニワのコピーライター、
タイガータイガークリエイティブの細田佳宏さんにバトンをお渡ししたいと思います。

細田さん、来週からよろしくお願いします!

みなさん、またどこかでお会いしましょう。良い週末を。

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