リレーコラムについて

1分先は闇

尾崎敬久

自分でも悲しくなるくらい、方向音痴である。

地下鉄に乗る際は細心の注意が必要だ。
例えばクライアントへプレゼンに行く時、
階段へのアクセスを考えて先頭車両に乗ったとする。
プレゼンを終え再び地下鉄に乗って会社に戻る時、
最後尾の車両に乗れば、行きに乗った同じ場所に着ける。
けれど僕は、かなりの確実でまた先頭車両に乗ってしまう。
ホームに降りると、行きの時と同じような階段があり、
なんのためらいもなく上る。
すると地上に出た時には、全く想定外の景色が広がる。

東京などの出張先でも、よく電車で移動する。
電車がホームに到着していて、ドアが開いていると、
無意識に「この電車は自分の目的地方面に進む電車である」と脳が反応する。
だからスタスタと乗り込む。座席に座る。発車する。
半分くらいの確率で逆の方向に進む。

「方向音痴の人は根拠のない自信で歩き進む」と言われたことがあるが、
それには自分でも頷ける。
自信というか、こちらは無意識なのだが。

僕はこの方向音痴を、脳のせいにしていた。
先天的に脳に欠陥があり、生涯克服できるものではないと。

でもネットで調べたら違うらしい。
厳しい意見だと「方向感覚を養うトレーニングを怠っているから」だそうだ。
そんな風に言われたら泣く。

先日も同僚と馴染みの店へランチに行く際、
オフィスのエレベーターを降りて一人スタスタ歩く僕を、
「おーい、こっちこっち」と呼び止められた。

もういい。
Googleマップがあれば生きていける。

そんなGoogleマップさえグルグル考えだす時がある。
絶望しながらも、Googleにもわからないことがあるのかと、ちょっと安心する。
そして自分の勘で進む僕は、
それが会社から徒歩1分の場所であっても、
迷子になるのだ。

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