リレーコラムについて

でしょう

中里耕平

いつだったか、FBに数年ぶりで何かを書いたら、
「あれ? きょうは語尾、『〜でしょう』じゃないんだw」というコメントがつきました。
仕事の打ち合わせでコピーを見せた時にも、そんないじりをされたことがあります。
自分に固有のおなじみの語尾があるなんて、
バカボンのパパやイヤミやラムちゃんやコロ助みたいで、
なんだか誇らしいではないダスか。
(あ、デカパンもいました)

語尾の「〜でしょう」とは、なんのことか。
ぼくが長くつづけている新聞広告シリーズと関係があります。
マドやドアに絡めたあれこれを、天気予報口調のコピーで
ひたすら毎日毎日「〜でしょう」「〜でしょう」…と展開していく小枠広告です。
毎日新聞のお天気欄に載っています。

TCCの年鑑には毎年いくつかずつ掲載になっているので
知ってくださっている方もおられるかもしれません。

これ、2005年の5月からつづけています。
ほんの1ヶ月ぐらいのつもりで始めた企画が、いつの間にか、5年、10年、15年。
ある時期からは過去コピーの再掲載もたまに交えつつですが、
いまも新コピーを書いています。
述べ掲載回数は5,500回を超えました。

「こんな広告があってもいいじゃない」
そんな気分でやっています。

でっかいことを言うわけではない。
何かを強くアピールするわけではない。
おおよそ普通の広告が言いそうなことは言わない。
データもまったく参考にしない。
どちらかというと、世間でどうでもいいとされるようなあれこれを、
小声でひたすらつぶやきつづける。

一般的な広告のように、無理やり見てもらう感も全然ない。
むしろ、ずっと毎日新聞を取っているのに、さりげなさすぎて
いまだにこの枠の存在に気づいていない人もいるようなのです…。
けれど、ひとたび気づいて気に入ってくれた人は、
次の日からは自ら見に来てくれるかもしれない(だいぶ理想的なケースですが)。

そんなありようを、クライアントの担当者の方も面白がってくれて、
長くつづけることができています。

小さな発見系。季節系。言葉遊び系。心情系。時事ネタ系。ナンセンス系。
いくつかの系統をぐるぐるしながら書いています。
どうせなら、マドやドアの周りで人が感じる気持ちを、もれなく書き出してみたい。
人間がマドやドアから思いつく言葉遊びは、ぜんぶ網羅してみたい。
つづけるうちに、そんな欲も少し出てきました。
でも、これだけ書いているのに、まったく見逃していることがたくさんありそうです。
そう思うととても不思議です。

ひとつひとつはそんな他愛なさを追求しているのですが、
数が重なることで、何か別の力が生まれるとよいなーとも思っています。
たまにイメージしているのが、勝手に考えた「竹ひご理論」です。
ここでの1本1本のコピーは、竹ひごのように細いもの。
むしろ、それをもって良しとしています。
だけどそれが束になって、ちょっと太くなり、どんどん太くなり、極太になり、
ブランドを支える柱のひとつになってくれていればいいな、という。
まあ、ちょっと、都合のいいイメージですけど。

問題は、これだけつづけていると、
あんまり面白いとは言えないと言わざるを得ないこともなくもないとしか言いようがない、
そんな日がどうしてもあることです。
あなたがたまたま見てくださった日がその日だったら、そっと見なかったことにしてください。笑
(唯一の言い訳は、「文字数が…」です。
スペースの都合で文字数が決まっていて、その範囲内で書くのがなかなか…)

そういうところもご理解の上で、この企画をつづけさせてくださっている
クライアントさんには、本当に感謝あるのみです。

また、これまでに一緒にコピーを考えてくれた歴代の
大津くん、小野くん、郭さん、國富さん、岩穴さん、杉本さん、ありがとうございます。
(あ、TCCには自分で書いたものだけ自分名義で出してます! 念のため…!)

これからも、毎日新聞の片隅で、
でしょうでしょうと言いつづけることでしょう。

・   ・   ・   ・   ・

出だしも最後も、遅くなってしまって申し訳ありませんでした。。

次の書き手は、新人賞を今年獲ったばかりの福島康之くんにお願いしました。
これは安全バトンなのか、攻めのバトンなのか?
…すみません、話題のワードを強引に使ってみました。
きっといい感じのコラムを書いてくれるでしょう。

(8/10追記)
入会まもない福島くんがここにアップするにあたり、
ちょっと確認しないといけないことがあるのですが、今週が事務局の夏休みのようで。。
ということで、来週から書いてもらうことになります。
福島くん、みなさん、いろいろすみません!

中里耕平の過去のコラム一覧

5146 2021.08.09 でしょう
5145 2021.08.05 方針
5144 2021.08.04 おおきな隆夫
5143 2021.08.03 撮影日誌
5142 2021.08.02 あやうく干支が
NO
年月日
名前
5793 2024.11.05 御倉直文 コピーと短歌は似ているか?違うか?
5792 2024.11.04 御倉直文 短歌、はじめました。
5791 2024.11.01 長谷川智子 愚痴る力
5790 2024.10.31 長谷川智子 茄子の煮物はタイムマシン
5789 2024.10.29 長谷川智子 スペイン語に騙されて。
  • 年  月から   年  月まで