「パパはママに出会うまでに、どんな冒険をしたの?」
こんにちは。小児科で「お母さん」と言われると、未だに「え、だれのこと?」と後ろを振り返ってしまう、日もある日比野鮎子です。
「私が聞いたふつうの人の名言」。三日目の今日は、子どもの名言を紹介します。
子どもの名言、なんて非常にベタだなあと思うのですが、まあでも、こんなに身近に、私たちの持つ固定観念を軽々飛び越える存在がいるというのも、実はすごいことだと思うので、我が家の愚息の名言を紹介してみます。
「パパはママに出会うまでに、どんな冒険をしたの?」
我が家のリビングには、新婚旅行の時の写真がひっそり飾られているのですが、その存在に気がついた長男(当時小一)が、写真を見て言った一言です。どういう意味?と聞いたら、「だってこんな、砂漠みたいなところにわざわざ行っているじゃん」とのこと。
私たち夫婦の新婚旅行は、ギリシアでした。写真の中の我々は青空の下、ギリシア特有の石造りの壁の前に立っています。しかも夫は現地の雰囲気に合わせて、普段は被らない妙な帽子を被り、古代ギリシア人のような風情を漂わせています。私も私で、白いワンピースなんか着ちゃって、スターウォーズのレイア姫、的なものを意識しているんですか?とツッコミたくなる格好です。
実際のところ、私の夫は私を救うために砂漠を冒険などしていない、むしろ私が「この東京砂漠で生き抜くには一人よりは二人の方がまだマシでは!!」と考えて結婚を打診したというようなことが実情であるし、海外旅行は私の方が慣れていたので、ギリシアでもパーティーの先頭に立っていたのは私でした。長男は事実を知って、ちょっとガッカリしたことでしょう。
しかし小学校一年生ぐらいだと、そこそこ、「ファンタジーと現実が入り混じった世界」に生きているのだなあとあらためて感じます。私たちが「絶対に起きない」と思っていることを、「もしかすると起きるかも」と、70%くらい信じているのが小一、だったりします。
この「70%」という微妙な割合が、こどもの面白さでもあります。長男が保育園の頃、帰り道に完全に仮面ライダーウィザードになり切って歩いていたため、「ウィザード、急いでるからこの坂は一人で降りてきて〜」と坂の下から頼んだところ、「できないの!ぼくは普通の人だから!!!」と返されたことがありました。あんなになりきって帰ってきたのに、ふつうの人であることはわかっているのか。それなりに、自分が凡人であることも承知しているのか……
今日は、名言というより親バカエピソードになってしまいました。しかしコピーライターたるもの、人とは異なる切り口で物事を見る力も大切です。通常なら「100%ない」と判断することも「いや、もしかすると、あり得るかも」と想像してみるのも、時には必要なことかもしれません。もしかするとあなたのお父さんも、死の砂漠を横断するような大冒険の末に、お母さんと出会ったのかもしれませんよ。
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