リレーコラムについて

「書いとかないと忘れちゃうから」その③在宅ワークと松山鏡

木村亜希

以前は会社で仕事をできるだけ終わらせ、
家に帰ってからは(「できるだけ」とか「なるべく」ですが)
スマホも充電器につなげて置きっぱなしかカバンに入れっぱなし、
パソコンを開いての仕事もしないようにしていました。

ところが今年度は在宅で仕事する時間がほとんどなので、
気づけばパソコンにもスマホにも、起きてる間は常時接続状態。

しかし、家族(特に子ども)の前ではできればやめたいなと思っております。

「松山鏡」という落語があります。
親孝行の褒美に何が欲しいと問われた男が
「死んだ父に会いたい」と言ったため、鏡をもらいます。
その村の者はみな鏡を見たことがないので、
男は鏡の中の男を(自分と瓜二つの)父だと思います。
しかし、毎日コソコソ納屋に行く男をあやしんだ女房が鏡を覗くと
鏡の中にはオンナがいるので(女房自身ですが)大喧嘩に・・・!!
という話なのですが、

これ、女房がヤキモチを妬くのは、映っているものが何であるか以前に、
自分がここにいるのに、ここではないどこかを覗き込んでいる
(そしてどうやらそちらのほうが優先らしい)という状況なのではないか、と。

家族や友人が同一空間にいるのに、
パソコンやスマホの中を凝視しているというのは
「お前がイチバン・・・ってわけじゃないから」
というメッセージを発しつづけていると取られてもおかしくない
(状況にもよるでしょうが)。

将来は、インターネットにつながる手段として
もっとよさげなインターフェースが生まれるはず。
パソコンもスマホも道具であることを忘れず、
道具に使われる人間にならないようにしようと思う2020年なのでした。

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