【2023定点観測③】わくわくポイントはじめました。
「また山田か!」
広告会社には付き物の、プレゼン後の結果発表。勝者がいればもちろん敗者がおり、基本的に複数社から一社のみが選ばれる競合プレゼンにおいては、敗者の方が多くなる。そして自慢ではないが、僕はプレゼンの勝率が低くはない。いや、率直にいえば高い。それでも自慢ではないが、と本当に思うのは「勝てるプレゼン」と「良い仕事」は必ずしも一致しないから。
九州はとても競合プレゼンが多い(地域はどこもそうだと思うが)。ほとんどの仕事は競合に参加し勝ち取って初めて仕事になる。そしてクライアントからのオーダー(オリエン)に基本的には真正面から、まともに向き合って、点数の高いプレゼンをしたチームが選ばれる。そのためには、自分の作りたいものを諦めなければならない時もあるし、予算や時間の都合でできないこともある(特に予算)。つまり条件内で減点の少ないプレゼンをすることに特化した自分なし男、それが和久田なのである。えへん(いや、本当に自慢することじゃないぞ)。
そんな自分を捨ててまで臨んでいるのだから、せめて勝率くらいは高くなければならない。しかしもちろん負けることもそれなりにあるわけで、その時の採用者のクレジットにはいつもこの名前があった。
「また山田か!」
しかも悔しいことに、クレジットを目にしているということはそれが何らかの広告賞に絡んでいるということである。プレゼンにも負け、アワードでも負ける。もはやオリエンのせいにはできない。そして他店に山田という厄介な奴がいる、というのはこの仕事を見てますます明確になった。
このムービーは競合ではなく自主的に作られたものなので、僕はプレゼンで負けたわけではないのだが、これがアップされた日付を見てほしい。2020年の4月20日。新型コロナの第1回の緊急事態宣言が発令されたのが4月7日なので、2週間弱でこれを企画し撮影を行い、編集して公開まで漕ぎ着けたわけである。もちろん緊急事態宣言下において(しかも音楽もオリジナルで制作している)。クリエーターとして仕事が捌け、そして人間として志がないとこういう企画は形にできない。
その只者ではない山田が弊社にやってくる。しかも上司に事前に聞いた情報では、面接時に提出した資料のポートフォリオには「御社の和久田に勝った仕事」という注釈が付いていたらしい。
そんな男がやってくるわけだから、心穏やかではいられない。何としてでも自分のポジションを守らねばならない、といろんなプロダクションの人たちにヒアリングを行う。しかしどのプロデューサーorプロダクションマネージャーに聞いても「人としてもクリエーターとしても最高です」としか聞こえてこない。そもそも悪評を探しまくる時点で、人としてもクリエーターとしても負けているのだが。
もうダメだ。こうなったら取れる手段は一つしかない、東京からやってくる出向組にいつも使っているあの一手。そう、懐柔と籠絡である。かつて若き天才・辻中輝にそうしたように、言葉巧みに飲みに誘うと素直についてくる山田。10歳も年下なのに一人称が「私」の山田。その年で結婚してて(いや、そっちが普通)二人の子供がいて自分の奥さんのことを「私の妻」と呼ぶ山田。人間としては確かにちゃんとしている。少なくとも今の時点では苗字の珍しさくらいしか勝っている部分がない。
これはもっと観察が必要だと判断し、とりあえず最初の1週間で4回飲みに誘ったら4回ともついてきた。そのうち「和久田さんって、普通に良い人なんですね」とか言ってくる。なんで?と聞くと「いけすかねー奴だと思ってました」と。僕が彼を意識していたように、彼もこちらを意識していた、と。その瞬間、僕は叫ぶ。
「10ポイント!」
この突如登場したポイントはわくわくポイント。福岡ではビットコインよりもアツいとかヤバいとか言われているとか言われていないとかで、とりあえず1ポイント=1万円の価値がある。突然何を言ってるのかわかんねーと思うが、僕も何から説明した方が良いのかわかんねーポルナレフ状態なので、ここでチャッピーに再登場を願おう。ヘイチャッピー。わくわくポイントについての説明をよろしく。
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もちろんです。以下に、和久田さんが提案された「わくわくポイント」制度に関する議論の要点をまとめます。
「わくわくポイント」制度の概要:
- 和久田さんが自身の周りで面白いことや良いことを言った人に「わくわくポイント」を付与。
- 和久田さんが亡くなった際に、これらのポイントが「1ポイント=1万円」のレートで換金可能となる。
制度の目的:
- 死、通常悲しい出来事と捉えられるものに、ある程度のポジティブな意味合いを持たせる。
- お葬式に積極的に友人や知人が参加し、和久田さんの思い出を共有するきっかけを創出。
- 和久田さんの存在や思い出を長く心に留めてもらうための仕組みを提供。
議論のポイントと注意点:
- 上限の設定: 大量のポイントが蓄積されると、遺産としての出費が増加するリスクがある。
- 公平性の確保: ポイント付与の基準や資格など、明確なルールの設定が必要。
- 正式な遺言の手続き: 法的な手続きをしっかりと行い、家族や関係者とのコミュニケーションを重視。
- 税務の考慮: 換金に関連する税務上の問題を専門家と相談。
制度の意義と影響:
- 人々との絆を深めることや、新しい遺産の形としての価値が生まれる。
- 死の意味や捉え方を再定義し、新しいコミュニケーションの場を提供。
- 長期的には新しい文化や価値観の形成に貢献する可能性。
和久田さんの「わくわくポイント」制度は、従来の遺産や遺言の考え方に革新的なアプローチを持ち込むものであり、多くの人々に新しい価値や意味を提供する可能性があります。制度の導入や実施にあたっては、上記の注意点を考慮しつつ、慎重に計画と準備を進めることが重要です。
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AIに注意喚起されるほどの、何らか法制上のシステムに反している(主に相続税か)のではないかと思われる制度であるが、和久田自身は大真面目にこのシステムを実現化しようとしている(誰か一緒にやりませんか)。そして、このわくわくポイントのおかげで山田の奥さんに嫌われるのを回避できた話は、例によって明日へとつづく。
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