あれから⑤
レディー・カガが映画になるという。
加賀温泉郷で働く女性をレディー・カガと名付けたPR動画を
僕が手掛けたのは、もう10年以上前のことだ。
報道によると、監督はレディー・カガのPR動画を見て映画化を思い立ったそう。
奇特な人もあるものだ。
映画化が発表されてから、たくさんの問い合わせをもらったのだが、
この映画に僕は一切関係がないので連絡をもらっても正直、困惑するばかりだった。
でもまあ、加賀温泉郷が盛り上がるのならいいかと今は静観しています。
レディー・カガをきっかけに始まった加賀温泉郷の仕事は、
かたちを変えながらもう10年以上続いている。
加賀という名字が同じという縁だけで、モーニング娘。の加賀楓さんに
加賀温泉郷の観光大使になってもらおうという企画を実現してから、
加賀さんが所属するアップフロントさんと加賀温泉郷は今も良好な関係が続いている。
先日も、加賀温泉郷で「SATOYAMA & SATOUMIへ行こう2022」という
アップフロントグループが主催するイベントに出展し、
広告制作者という立場でステージで話す機会を得た。
そこで加賀温泉郷の企画やコピーについての話になり、
MCを勤めていたアイドルからこんな指摘をもらった。
「大久保さんは、おもしろかったらなんでもやっちゃうんだから!」
独立して5年経った。フリーランスになり、REACHという会社をつくった。
全国各地の自治体や企業のブランディングやプロモーション、
大手化粧品メーカーや老舗ブランド、スタートアップ企業のプロモーションも担当した。
いくつかの広告賞ももらった。不満はない。
しかし、コロナ禍などもあり、
最近、ふと本当は何をしたかったのだろうと立ち止まることが多かった。
もともと才能がなかっただけかもしれないが、
近ごろ考え過ぎてなんとなく手が縮こまっているような気もしていた。
正直、迷走していたと言ってもいい。
おもしろかったらなんでもやっちゃう。
そうだった。
おもしろいことをするために独立したんだった。
楽しそうなこと、おもしろそうなこと、ワクワクすること。
ユーモアと社会批評の精神で。そして何より人間臭く。
原点に帰ろう。
2016年、あれから。
僕は、おもしろかったらなんでもやっちゃうコピーライターを今も目指している。
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ちなみにイベントでMCを勤めていたアイドルは、
モーニング娘。’22の石田亜佑美さん。カレーが大好きで礼儀正しいダンスマシーンです。
モーニング娘。’21『ビートの惑星』Promotion Edit
*多幸感が詰まった名曲です。ぜひ聴いてみてください。
1週間、僕の拙いコラムにお付き合いいただきありがとうございました。
次回からのコラムは、多胡伸一朗さんです。
多胡さんは、noteでエッセイや小説、言葉や広告の話などを書いている本格派。
どうぞよろしくお願いします。